経済にとって、地価は非常に重要です。
改めて、経済と地価の関係について、書きたいと思います。
概要
バブル経済崩壊後、地価は下がり続けています。
下図は、地価の推移を示したものです。1970年代から上昇を続け、1991年に戦後最高水準の地価となりました。しかしバブル崩壊とともに地価は下がり始め、現在まで一貫して低下しています。
これ自体は、目新しい話ではないし、ある種デフレの象徴的な現象です。反面、バブル期のような地価は異常だが、1990年代後半頃からは、不況の原因の一つでもあります。
地価の影響
実際、地価は購入者にとっては安いに越したことはありませんが、経済面で多くの影響を与えます。
1つ目は、資産効果である。土地は資産であるため、地価が下がるということは資産が下がることを意味します。その結果、土地所有者の実質的な資産は目減りします。
2つ目は、資産効果と関連するが、金融機関から融資を受ける場合、土地を担保にする場合が多いです。しかし地価が下がれば、担保価値が下がるので、融資を受けにくくなります。
逆に、金融機関は融資を実行するにあたって、カバー率を見ます。カバー率とは、融資額のうち担保や保証などで回収できる割合です。カバー率が低いほど、融資が焦げ付いたとき回収ができなくなってしまいます。つまり、地価が低ければ、カバー率も低くなり、金融機関としても融資を行いにくいことになります。また、2006年からは企業会計で減損会計が導入されており、地価が低下すると、会計上、土地の含み損を計上しなければならない場合も生じてしまいます。その結果、企業の財務も悪化します。
3つ目は、市町村の財政を悪化させます。市町村の地方税収入の大きなものとして、固定資産税があります。当然、地価が下がると固定資産税が下がるため、市町村の税収は減り、財政が悪化します。
この他、リート市場が悪化する、大家や不動産屋の収入が減るなどの影響もあると思います。また、上記のことは、あくまでも直接効果であり、その波及効果もあるため、その影響はさらに大きいことになります。
このように、地価は経済にとって、非常に重要です。
地価は経済学的にはファンダメンタルズ(その土地の収益性)から決定されると考えると、地価が下がり続けると、一層、経済の悪化を招くことになります。
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