縦割り行政のどこが悪い?

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概要

 よく行政批判の一つとして、縦割り行政が挙げられます。

 縦割り行政とは、部署間で連携がとれておらず、同じような業務や施策を行っていたり、逆にたらい回しに見られるように、責任のなすり合いなどが起こったりしていることに対して、批判的に使われる言葉です。

 勿論、このような弊害はないほうがいいが、縦割り行政は仕方がないものでもあります。

なぜ、縦割り行政が生じるのか?

 そもそも行政組織は、縦割りにするために、組織が構成されています。

 (地理や製品などで分ける場合もあるが)一般的には、機能別で組織が構成され、業務・組織の効率性が追及されます。会社でいえば、製造部門と営業部門を分けたほうが、効率的に運用できるのと同じ。この結果、国でいえば、財政ならば財務省、産業ならば経済産業省というように、機能別の組織が作られ、自治体でも、福祉関係ならば福祉部、建設関係ならば土木部といったような形で、組織が作られます。

 つまり、効率的に組織を運用するには、機能別に組織を設計し、縦割りにしなければいけないのです。

 そしてそうなると、各部署はそれぞれのミッションで行動するようになります。例えば、財政部門ならば財政のことを考え、土木部門ならば公共事業のことを考える。そうなると、部門ごとの間には必ず、摩擦が生じてしまいます。

 逆に、道路を作る担当が、自由に予算をつけることができ、道路を作っていったらどうなるでしょうか。道路を多く作りたいという担当であれば、予算を無視して、どんどんと道路を建設していく。財政を守りたいという思いが強い担当だったら、あまり道路を作らないことになります。

 このように、機能を分けることで、チェックが効くという側面もあります。

 また、縦割りといった組織構造は、何も行政だけの問題ではありません。民間の会社でも、営業部門と製造部門に摩擦が生じることなどは、よくあること。
 すなわち、行政だろうが、民間企業であろうが、ある種の縦割りは生じてしまうのです。

行政の特殊性は?

 それでは、行政と民間企業の違いは何なのでしょうか?

 1つは、行政は、様々な業務を行っているという点です。

 例えば、産業、土木、福祉、税金など、非常に幅の広い業務分野となっています。更に、同じ福祉といっても、児童福祉から老人福祉まで、更に細分化して行政サービスを提供しています。通常の民間企業ならば、食品メーカー・卸売業など、商品・サービスは限られており、いくら民間企業が事業を多角化しているといっても、行政のほどの幅はないというのが現実です。

 小さな町や村ならば別かもしれませんが、ある程度の規模の自治体レベルになると、そこの自治体の職員であっても、すべての業務を把握している人はいないと断言できます。首長や総務系の職員は比較的幅広く業務内容を把握しているが、細かな点までは分かっていません。

 2つは、民間企業と異なり、行政の場合は、分社化できないということもあります。

 いくら事業部を設けても、行政においては、あくまでも行政組織としては一つです。民間企業ならば、全く異なることを行うのであれば、分社化したり、新たな会社を設立するが、行政ではこのようなことはできません。

 民間企業であれば、会社の規模が大きくなったり、様々な事業を行うようになると、分社化や事業部制を導入する。そこで幅が広がった業務を細分化できるため、上記のような縦割りの弊害は少なくなります。また、対外的に見ても、違う業務を行っていることが分かりやすいため、たらい回しなどの問題は生じにくくなります。

 例えば、IT企業の楽天という会社を考えてみると、ショッピングモールから旅行業・保険業務など、多岐にわたる事業を行っています。しかし、それぞれの業務で会社を分け、組織を細分化しているため、外観的にも違う業務を行っていることが分かりやすい面があります。

 しかし、行政においては、全く同じ一つの組織であるため、外観的にも同じに見えてしまい、民間企業ならば、生じないようなトラブルも生じがちになります。楽天の例でいえば、楽天トラベルに人に楽天銀行のことを聞いたりはしないと思いますのだが、行政においては、保健関係の部署の人に土木関係の話を聞いたりすることがありえるということです。

縦割りの弊害を抑える工夫

 組織論的に言えば、縦割りの弊害をなくすような組織形成・仕組みなどはあります。

 1つは、人事的に横串しを差し、一人の担当が複数の部署に所属し、業務を行うというもの。経営学でいえば、「ファンクショナル組織」というものです(逆に行政の現状のような組織は、経営学的には「ライン組織」と言われる)。

 これを行えば、各部門の情報が入ってきやすいため、他の部門の業務について知らないということは少なくなります。それぞれの部門のミッション・業務が分かるため、軋轢の調整もやりやすい面もあります。また、業務が分化された組織では対応しにくいような曖昧な業務についても対応が可能になります。

 例えば、バリアフリーの道路を考えた場合、バリアフリーに着目した場合は福祉関係の話になり、道路に焦点を当てれば、土木関係の話になります。通常でしたら、どちらの業務になるのかという問題が生じますが、ファンクショナル組織で考え、福祉と土木の両方を担う担当がいれば、問題は少なくなるはずです。

 とはいえ実際は、このような組織づくりは難しいのが現実。

 なぜならば、責任の所在が不明確になりがちだからです。上記のバリアフリーの道路で考えた場合、何か問題が生じた場合、福祉の部署の責任になるのか、土木の部署の責任になるのか、曖昧になります。

 また、ファンクショナル組織の問題として、「ツーボス」の問題が生じます。簡単に言えば、1人の担当からすると、複数の上司をもつことになり、その調整に苦労したり、結局は一方の上司の命令に主に従うことになったりして、横断的な組織づくりが形骸化してしまうこともあります。

 これらの結果、横串しの組織づくりの仕組みを導入しても、結局は、ライン組織が維持されることになります。

 もう1つは、たらい回しなどの弊害をなくすため、ワンストップの窓口を創設することも考えられます。民間企業ではカスタマーセンターのような形で、顧客対応をしていることが多いです。
 
 しかし、上記で述べたように、行政の業務はあまりにも細分化され、業務も多岐に渡っているので、1つの窓口で対応することは難しいです。その結果、外部からの問い合わせは、現在の電話交換台のように、せいぜい担当課に回すだけの機能しか持たせることはできません。そこで、少しでも誤ったところにつないだり、住民の問い合わせの仕方が悪ければ、たらい回しとなってしまいます。

結論

 以上をまとめると、縦割り行政の問題は、次のように言えます。

 連携不足や重複する施策などは、そもそも行政だけの問題ではなく、事業部制などのライン組織の問題です。特に、行政の場合、部署ごとにやっていることも違えば、元々の目的が違っていることが多いため、このような問題は生じやすい面があります。

 また、たらい回しなどは、様々に細分化された行政サービスを行っているため、外部から見ると区分がしにくいという点が挙げられます。分社化などができれば、明瞭になるが、そういう訳にもいきません。分社化などができていないため、責任も明確に分けにくいという点もあります。民間企業の場合には、「会社が違います」といえばそれまでで、どこの会社が担当するかは明確に区分できるが、行政の場合にはそういう訳にはいきません。

 勿論、上記のような縦割り行政の弊害はないほうがいいです。これは、民間企業も含め、部門間の連携は非常に重要だと思うし、たらい回しなどがないほうがいいことは間違いないです。

 しかし、解決できないこと・解決しにくいことをいろいろと言っても、仕方がありません。

 むしろ、縦割り行政というものを前提に、行政内部では情報共有をできるような仕組みを導入したり、対住民に対しては、伝え方や広報戦略が重要になると思います。

コメント

  1. 本沢 義明 より:

    戦時に発揮します。北朝鮮。バカが頭でも動き出す。余りにも犠牲が多すぎで、復活出来ない。ロシア中国北朝鮮。楽しくない。ブランド物を彼らば、好きですね。金の余裕がある中国人の行動は偽造ですか?真実かな。憧れるからブランドを買うのですよ。行動は真実に近い。金をいくらだしても作れない。絵画、造形、イロイロ、ローマは一日であらず。日本のわびさびは書面化出来ません。3.5次元を楽しむから。まだまだですね。