概要
19もの市町が、ヤフーショッピングへ出店を行うというニュースがあった。
参加するのは、次の通り。
ヤフーショッピングといえば、昨年、出店費用無料化を決めるなど、非常に話題となったが、それに引き続き、地方経済・地方自治などに関心のある私としては、非常に気になるニュースである。
外部リンクYahooプレスリリース
「Yahoo! JAPAN、eコマース事業において全国の自治体と連携を開始 「Yahoo!ショッピング」にまずは19自治体が参加」
そこでこの状況について、考えてみた。
双方のメリット
なぜ、このような連携が生まれたのか、経緯については分からないが、双方にとってのメリットを考えてみた。
自治体としてのメリットは、集客力のあるヤフーショッピングに出店することで、自分の地域の特産品などを販売・PRすることができるということだろう。
特に、最初に参加する19市町は、自治体運営型通信販売サービス「JAPAN satisfaction guaranteed」に参加している自治体だという。これは、19の市町の特産品などを販売しているネット販売サイトである。
実際は分からないが、ネット販売サイトを運営しているところが他のネット販売サイトに出店するというのだから、やはりこの「JAPAN satisfaction guaranteed」という販売サイトではなかなか売上が上がらないという問題があったと思われる。そして今回のように、より集客力のあるヤフーショッピングへの出店となったのだろう。
この点で、もしかしたら今後、「JAPAN satisfaction guaranteed」は閉鎖されるかもしれないだろう。
次に、ヤフーとしてのメリットは、このような自治体と連携することで、社会貢献・地域貢献を謳えるということにあるに違いない。特に昨年、出店自体を無料化したのだから、より公共的なところが、自社サービスを利用してくれるというのは、CSRという観点でメリットがあると思われる。
また、自治体との関係・連携を行うことで、新たな企画やイベントなどを実施したりもできるだろうし、新たな事業も生み出せるかもしれない。
その点で、今後、ヤフーとしても新たな自治体の参加を呼び掛けていくそうだが、自治体の横展開を実施していくという戦略のようだ。
このように、今回のことは、自治体・ヤフー双方にとってメリットがあることである。
しかし本当にメリットがあるのか?
しかしふと、このような取り組みが本当に、自治体や地方にとってメリットがあるのか、疑問が湧いてしまう。
例えば、自治体としては、自分の地域の特産品などを購入してほしい。この点を考えると、自分でサイトを構築し、ネット販売サイトを運営してもいいはずだ。ある消費者が、ある市町の商品をほしいと思い、検索をしたとき、ヤフーショッピングの店舗が上位に来るならいざ知らず、現状はそうではない。
実際、ある市について「○○市 特産品」と検索したところ、最上位に来るのは、観光協会のサイトである。そうならば、その観光協会で、物販などを行ったほうが早いだろう。
確かに、ヤフーショッピングを使うことで、サイト構築は簡便になるだろうが、大きなメリットとは言い難いだろう。また、今回のような連携で、自治体の販売サイトについて、リスティング広告などを、無料で打ってくれるというのならば、別だろうが、プレスリリースを見る限りそうではない。
ヤフーとしては、多くの自治体に参加してもらったほうがメリットがあるが、自治体の立場で考えると、本音を言えば、他の自治体には参加してほしくはないだろう。自分のところだけ、特別扱いしてくれるからこそ、メリットがあるといえるし、多くの自治体が参加してしまうと、差別化もできなくなる。
更に行政的なことを考えれば、サイトを作るということは、それを運営する人が必要となる。多くの自治体では行政コスト削減の観点から、人員を減らしてきている。
また、自治体として、このようなサイトを運営すること自体も、地域の特産品などを扱う民間企業の販売サイトがある中で、ある種、民業圧迫につながるので、やりにくいという面もある。
別にヤフーのことを批判するつもりはないが、自治体の立場でこのように考えると、あまり自治体にとってはメリットがあるのか、疑問を感じてしまう。
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