囚人のジレンマ(prisoners’ dilemma)とは、経済学におけるゲーム理論の用語です。
ゲーム理論の本などを読んだ際には、最初に出てくる話ですが、この囚人のジレンマについて、分かりやすく解説します。
内容
協力などを行えば、より良い状態があるにもかかわらず、その状態には至らないことを表す例の1つです。
具体的には、共同である犯罪を犯した2人の囚人がいるとしましょう。
この2人はそれぞれの尋問室で取り調べを受けています。そこで調査官から、次のような提示を受けます。
- 2人とも自白すれば、刑期は5年。
- 1人が自白をして、もう1人が黙秘を続ければ、自白した者の刑期は1年、黙秘を続けた者の刑期は7年。
- 2人とも黙秘を続ければ、刑期は3年。
それぞれの囚人は、次のように考えます。
このまま黙秘を続けるよりは、もし自分だけが自白をすれば、刑期が3年から1年に軽減されます。逆に、自分は黙秘を続け、もう1人の囚人が自白を行えば、刑期は3年から7年へと重くなります。
その結果、囚人は2人とも、自白を行い、刑期は5年となります。
これを表にすると、次の通りです。
囚人B | |||
---|---|---|---|
黙秘 | 自白 | ||
囚人A | 黙秘 | 囚人A:3年囚人B:3年 | 囚人A:7年囚人B:1年 |
自白 | 囚人A:1年囚人B:7年 | 囚人A:5年囚人B:5年 |
この例から分かるのは、2人の囚人が黙秘を続ければ、刑期は3年で済んだはずにもかかわらず、それぞれの裏切りにより、結局は刑期が5年へと重くなってしまいます。
このように、個人では合理的に判断し、非協力的に行動した結果、協力し合った結果よりは、悪い状態へと至ってしまいます。
参考
岡田章『ゲーム理論・入門 新版–人間社会の理解のために (有斐閣アルマ)』
渡辺隆裕『ゼミナール ゲーム理論入門』
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