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地域と戦争と観光を考える

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 ニュースを見ていると、零戦や回天など太平洋戦争に関する記事を見つけた。

外部リンク2013/12/1 西日本新聞「戦争も「永遠のゼロ」に 博多駅前に実物大の零式戦闘機 [福岡県]」
外部リンク2013/12/1 大分合同新聞「「回天」基地跡公園化へ 日出町大神」


 地域と戦争ということを考えると、あまり関係ないと思うかもしれない。またどうしても空襲などの歴史と結び付けやすい。

 しかし、戦前の軍隊というものは、非常に地域と密接な存在であった。理由は単純で、徴兵制が採られていたが、それぞれの軍隊(師団・連隊)は地域ごとに編成されていたからである。
 例えば、太平洋戦争開戦直後にマレー半島を旧日本陸軍は侵攻したが、その作戦の中心にあったのが、広島を中心に編成された第5師団である。また、ノモンハン事件で大損害を受けたのが、熊本を中心に編成された第23師団であった。

 そのため、参謀本部では、軍の配備に際して、寒いところだから北国の軍隊を配備しようなど、軍の編成地を考慮したりした。
 地域としても、戦争は悲劇ではあるが、同時に栄光的な側面もあった。例えば、ある戦争・作戦で外征し、帰還するとその地域では戦勝祝賀会などが開かれたりもした。また、第2師団・第6師団は最強だと言われたが、それは同時に地域としての栄光とも結びついていた。
 そして、どれほどあるか把握はしていないが、戦死者を弔うため、それぞれの地域で忠魂碑や忠霊塔などが存在するものである。例えば、第6師団の編成地である熊本には、「小峰墓地公園」という公園があり、西南戦争から太平洋戦争までの戦没者が弔われている。

 このように、地域と戦争というものは、非常に結びつきが強いものであったが、戦前の戦争が侵略戦争だったということで、このような面があまり語られなかった。

 そして現在。このような状況が変わってきているのだろう。
 上記のニュースのように、博多駅前に零戦を飾るなんて、十年・二十年前ならば、大きな問題になっていたかもしれないからだ。

 この変わってきた状況に関して、地域としてはもっと、地域と戦争について、語るべきであると思う。いい点もあれば、悪い点もある。しかし、戦争は地域と結びつきが強く、地域の歴史と大きく関わっている。

 地域の歴史と戦争という点では、どうしても被害史的な面が大きく、平和記念館などが建てられている。しかしそれだけではなく、地域の軍隊について、語る場や博物館などがもっとあっていいと思う。
 例えば、ナイーブな問題だがあえて言うと、広島と戦争と言えば、どうしても原爆という話になる。しかし、海軍としては呉や江田島があり、陸軍としては、上記のようにマレー作戦を成功させた軍隊の中心編制地である。南京陥落を祝い提灯行列も行われ、日清戦争のときには、広島に大本営が置かれ、明治天皇も広島に移り、戦争指揮を行った。
 (現実的に広島でこのようなことを語ることが妥当かどうかは置いておいて)被害者・加害者という図式を超えて、歴史的事実として、知ることは重要だと思う。


 また、経済的に言えば、戦後、高度成長ができたのも、戦前の軍需技術の素養があったからである。

 決して戦争は賛美してはいけないと思うが、このような地域の歴史をもっと語ったり、知ることができる場があってもいいと思う。
 そして、那須には戦争博物館があったりもするが、このような戦争を知る場や博物館が少ないように思う。

 上記のように、時代は変わってきているのだから、このような博物館などをもっと建設したらどうかと思う。逆に言うならば、少ないからこそ、地域活性化・観光という点では狙い目だともいえよう。

 当然ながら、私は戦争は良くないことだと思っている。
 ただ、地域としてはもっと、したたかにそろばんを叩きながら、同時に教育・文化という側面で、地域の歴史・戦争を知れるような博物館などを建設したらどうかと思う。

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