JTが国内4工場の閉鎖を検討しているようだ。
理由は単純で、国内の販売量が減少している中でのリストラということだ。
ただ思えば、たばこというものは、地方との関係が深いものだと改めて気づかされる。
1つは、上記のように、たばこ工場は地域に雇用・税収をもたらしてきた。
今回、郡山工場(郡山市)、浜松工場(浜松市)、平塚工場(平塚市)、岡山印刷工場(岡山市)の4工場の閉鎖を予定しているが、これまでJTは多くの地方の工場を閉鎖してきた。
その数は下記の通りで、すべてがたばこ工場ではないが、27工場にもわたる。
閉鎖されたということは、逆に言うと、これまではこれらの工場があったわけで、その分、地方から雇用などが失われたことを意味している。
福岡工場、鳥栖工場、秦野工場、高梁工場、倉敷工場、岡山工場、仙台工場、名古屋工場、橋本工場、広島工場、府中工場、松山工場、那覇工場、函館工場、高崎工場、上田工場、徳島工場、高松工場、臼杵工場、都城工場、鹿児島工場、防府製薬工場、金沢工場、盛岡工場、米子工場、小田原工場、防府工場
2つは、たばこ税の存在である。たばこの1本あたり、都道府県には1.504円、市町村には4.618円の税収が入る。自治体の税収としては、決して大きな比率ではないが、喫煙率の低下により、ほとんどの自治体では毎年、減収となっているだろう。
またそもそも、たばこ税自体、かつては地方だけの財源であった。しかし、専売公社がJTになるときに、国税として、国もたばこから税金を徴収するという仕組みができた。
この他に、たばこの葉を栽培しているところでは、当然ながら、たばこ産地として衰退を招くことになる。
以上のように、思えば、たばこと地方は、非常に縁が深かったと言えよう。
しかし、それも今は昔。工場は12工場まで減少し、今回の4工場の閉鎖で8まで減少することになる。
郡山工場、須賀川工場、友部工場、北関東工場、平塚工場、浜松工場、東海工場、関西工場、九州工場、熊本工場、岡山印刷工場、生産技術センター
私は決して、もっとたばこを吸おうとかいうつもりはない。
ただ心象的に、たばこ工場の閉鎖やたばこ税の減収などと、地方の衰退が重なってみえてくる。特に、JTが工場閉鎖した27工場のうち、約8割(21工場)が2000年代以降に閉鎖されたものである。
工場を閉鎖したからといって、JTが不振であることはなく、会社自体は世界で3位のたばこメーカーであり、今期はアベノミクスによる円安で、海外たばこの売上増加で、営業利益の見通しを上方修正している。
また、かねてより禁煙は言われてきたが、2002年に、最初に路上喫煙禁止条例を作ったのが東京の千代田区である。
上記のような動向は致し方ないし、更に喫煙率は低下していくだろう。
ただ以上を考えると、たばこを通じ、地方工場と本社、地方と都会の関係、地方の衰退などが透けて見えてくるような気がしている。
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