W/R比率

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概要

 W/R比率(wholesale/retail sales ratio)とは、流通がどれだけ多段階を経ているかを示す指標である。
 定義としては、次のとおり。

  W/R比率=卸売業の売上÷小売業の売上

 このとき、W/R比率が大きいほど、多くの段階を経て、商品が小売業に届けられていることを示し、逆にこの値が小さいほど、流通が簡素化されていることを表している。

 商習慣として、商品は次のような流通経路を通り、製造業者から消費者に商品が届けられるとする。
 なお、()内の数値は、それぞれの業者の売上高を示している。

 (パターン1)
  製造業(80) → 卸売業(90) → 小売業(100) → 消費者

  このときのW/R比率は、90÷100=0.9となる。
 
 (パターン2)
  製造業(80) → 卸売業(90)  → 卸売業(95) → 小売業(100) → 消費者

  このときのW/R比率は、(90+95)÷100=1.85となる。

 パターン1は卸売業者が1者しかいないのに対し、パターン2は卸売業者は2者いるが、W/R比率もパターン2のほうが高くなっている。

数値例

 平成28年経済センサスを用いて、年間商品販売額から各都道府県のW/R比率を求めると、次のようになる。

都道府県 卸売業(兆円) 小売業(兆円) W/R比率
全国計 436.5 145.1 3.0
北海道 12.3 6.6 1.9
青森県 1.9 1.5 1.3
岩手県 2.1 1.4 1.5
宮城県 9.2 2.9 3.2
秋田県 1.2 1.2 1.1
山形県 1.4 1.2 1.2
福島県 2.7 2.2 1.2
茨城県 4.0 3.2 1.3
栃木県 3.5 2.3 1.5
群馬県 5.0 2.2 2.2
埼玉県 11.2 7.2 1.6
千葉県 7.1 6.4 1.1
東京都 179.1 20.6 8.7
神奈川県 13.2 9.4 1.4
新潟県 4.4 2.6 1.7
富山県 2.1 1.2 1.7
石川県 2.8 1.3 2.1
福井県 1.2 0.9 1.3
山梨県 1.0 0.9 1.1
長野県 3.5 2.4 1.5
岐阜県 2.6 2.2 1.2
静岡県 7.4 4.1 1.8
愛知県 34.9 8.9 3.9
三重県 2.0 2.0 1.0
滋賀県 1.2 1.4 0.9
京都府 4.8 3.0 1.6
大阪府 49.7 10.3 4.8
兵庫県 10.2 5.7 1.8
奈良県 0.9 1.2 0.7
和歌山県 1.3 1.0 1.3
鳥取県 0.7 0.6 1.1
島根県 0.9 0.7 1.2
岡山県 3.5 2.1 1.7
広島県 9.2 3.3 2.8
山口県 1.6 1.5 1.1
徳島県 0.9 0.8 1.2
香川県 2.6 1.2 2.2
愛媛県 2.5 1.5 1.6
高知県 0.9 0.8 1.2
福岡県 17.0 5.9 2.9
佐賀県 0.9 0.8 1.1
長崎県 1.8 1.5 1.2
熊本県 2.5 1.8 1.4
大分県 1.3 1.2 1.1
宮崎県 1.8 1.2 1.5
鹿児島県 2.8 1.7 1.7
沖縄県 1.5 1.4 1.1

解釈

 W/R比率は、卸売業者が多く介在するほど、値が大きくなる。このため、この値が大きいほど、流通構造が複雑化しており、非効率的ともいえる。

 反面、小さな小売店などが多い地域では、どうしても小分けが重要になるため、流通は多段階化しやすく、W/R比率は高くなる傾向がある。
 言い換えると、大型の小売店ではなく、小さな小売店が頑張っている地域では値が大きくなる傾向がある。

 また、卸売業は物流機能を担っているので、ロジスティクスの観点から、地域の中心的なところに立地する場合が多い。

 そのため、この拠点的な役割を担っている地域ではW/R比率は高くなり、その拠点的なところから商品を受け取っているところでは、W/R比率は低くなる傾向がある。
 
 例えば、都道府県で考えると、東京都などは首都圏の物流を担うことが多いため、卸売業の立地は多く、W/R比率は高くなり、逆に千葉県埼玉県など東京周辺の都道府県では、東京の物流拠点から商品等を受け取るため、卸売業の立地は少なく、W/R比率は低くなる傾向がある。

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