最近、地域を学ぶ講座を開設する大学が増えているようだ。
例えば、京都大学が1・2年生向けに京都の文化や企業について学ぶ講義などを始めたり、福井県立大学では地域課題をテーマにした卒論を2018年度に全体の40%以上とする目標を掲げ、福井について学ぶ科目を始めている。大正大学では、区の職員や区長なども講座を担当するそうだ。
背景には、少子化で学生数が減少する中、地域に目を向け大学としては生き残りをかけようとしているのだろうし、自治体や企業としては、地元の大学の学生が自分の地域で活躍してほしいということもあるのだろう。
これはこれで素晴らしいし、私はいいことだと思う。
いくらその地域の大学に通っていたとしても、その地域について知らない学生も多い。特に、地域に素晴らしい中小企業などがあっても、知らない学生も多く、就職においても、ミスマッチが生じてもいるだろう。この意味でも、このような取り組みはどんどんと進めていくべきだ。
しかし、上記にあるように、国立大学である京都大学などまでが行う必要があるのかとも思ってしまう。
国立大学は、地域を超えた国家的な人物を教育・輩出する機関であるからだ。また、他の地域の国立大学ならば、国立大学とはいえ、地方大学という様相が強いが、京都大学はそうではないだろう。
特に気になるのは、今回の京都大学の取組みは、文部科学省の「地(知)の拠点整備事業」の採択を受け、実施されるものである。この事業は、地域コミュニティの中核的存在としての大学の機能強化を図ることを目的としたものであるが、地域の高等教育機関に対して、国がお金を出したりして決めるというのは問題だ。地域のことは、地域で考えるべきであり、このような財源があるのならば、地方交付税などの配分を増やしたほうがいい。
地域の大学が、その地域のことを考えたり、学生にその地域のことを知ってもらうことはいいと思うが、国がコントロールすべき話ではない。
文部科学省「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」
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