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浄水方法

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 水道水を作る浄水場において、重要な点は、どのような浄水方法を採用しているかという点です。
 浄水方法により、建設コストは勿論、運営コスト(水の製造コスト)は大きく変わってきます。

 また同じ水道水といっても、浄水方法によって、味は大きく変わってくる。都会の水はおいしくないという印象がありますが、例えば東京ではいくつもの浄水場があり、それぞれの浄水場で浄水方法は異なっています。そのため、同じ東京であっても、美味しい水道水が飲める地域とあまり美味しくない水道水が飲める地域があります。更に、浄水技術は高度化しているので、昔と比べると、水道水は美味しくなっている場合が多いと思います。

 このように、浄水方法は水道水を考える上で、重要なポイントであり、大きく分けると次の3つの浄水方法があります。

緩速ろ過 もっとも古くからある浄水方法です。
仕組みは簡単で、砂及び細菌などにより水をろ過し、きれいにするというものです。井戸水や地下水はきれいな場合が多いのですが、これは土や細菌などによりろ過されているためです。言い換えると、この方法は、人工的に井戸水や地下水を作り出そうという方法です。
このような方法を採用しているため、水道水においては、緩速ろ過の水道水が最も美味しいとも言われています。
ただ、大きな土地が必要であったり、比較的原水がきれいでなければならないなどの課題もあります。
急速ろ過 高度成長期に普及した浄水方法で、水道水がおいしくないという印象があるのは、多くの浄水場でこの浄水方法を採用しているからです。
仕組みとしては、簡単に言うと、原水を石灰水で殺菌して、凝集剤で不純物を沈殿させ、その上澄みを水道水として供給するというものです。「水道水=カルキ」というイメージがあるが、浄水過程で石灰水を使用しているためです。
ただ近年は、オゾン処理や活性炭処理など、高度浄水処理を行っている施設も多く、昔よりも味は向上しているはずです。
また、大量に水道水を製造するにあたっては、急速ろ過が向いています。
膜ろ過 最も新しい浄水方法である。
原理としては、ろ過膜というフィルターを使って、浄水する方法です。このようにいうと、特別な方法のように思えますが、家庭で使われている浄水器などは、この方法で浄水が行われています。
膜の穴の大きさで通過できる物質が異なったりするため、どのような膜を使うかで、精密ろ過・ナノろ過など、更に様々な種類に区分されます。
また、緩速ろ過や急速ろ過が浄水施設や運転管理が重要となるのとは異なり、膜ろ過では装置の要素が強い。そのため、他の浄水方法に比べ、ろ過装置のコストが高いという面があります。ただ、クリプトスポリジウムなどの病原性細菌に対応するには、膜ろ過がよいということもあり、近年、採用している自治体も多いです。


参考

川北和徳『上水道工学 [第4版]

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