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離島振興法


概要

 離島振興法は、経済面・生活面で不利な条件にある離島の振興を図るため、制定された地域振興策である。
 長崎県の呼びかけにより、離島を抱える東京、新潟、島根、長崎、鹿児島が国に働きかけ、議員立法により昭和28年7月22日に制定された。
 現在では、過疎法や半島振興法など、条件不利地域を対象とした立法措置があるが、その先駆けともいえるものである。


沿革

 昭和28年7月に10年間の時限立法として制定されたが、延長を繰り返し、近年では平成24年6月27日に改正されている。
 この間、時代により、改編・拡充が行われており、例えば、現在の制度では、国により定められる離島振興基本方針では、再生可能エネルギーの利用などといった事項が加えられたり、都道府県による無医地区への医療確保などが定められている。また、平成24年の改正にあたって、従来の支援制度に加え、離島活性化交付金が設けられ、平成25年度より、国により予算化がなされている。


制度

 制度としては、国が離島振興基本方針を定め、離島振興対策実施地域を指定する。そしてこれに基づき、都道府県が離島振興計画を策定し、離島は各種の支援を受けることができることになる。
 現在、離島振興対策実施地域としては、26都道県の260島が指定されている(平成25年7月17日現在)。

favicon-web国土交通省「離島振興対策実施地域」


なお、奄美群島や小笠原諸島、沖縄については、「奄美群島振興開発特別措置法」「小笠原諸島振興開発特別措置法」「沖縄振興特別措置法」という特別立法でそれぞれ措置されている。


支援制度

 法律上は、財政的な配慮など、配慮事項を定めた部分もあるが、実質的な支援制度としては、次のとおりである。


①補助率の嵩上げ

 これは、港湾・道路・学校などのインフラ整備について、補助率を引き上げるというものである。例えば、公立小中学校を作る場合、補助率が50%から55%に引き上げられる。
 ただし、この法律は、各種法律の補助制度に基づいて制度設計がなされているが、近年、補助金の交付金化が進められており、社会資本整備総合交付金などという形で予算措置がなされているので、注意が必要である。言い換えると、法律上は補助率の嵩上げが謳われているが予算措置がなされていなかったり、実質的な運用は、この法律以外の交付金制度で補助が行われている場合があるので、それぞれの補助について、詳細に見ていく必要がある。


②所得税・法人税の特別償却

 これは、所得税・法人税の算定に当たり、減価償却に上限が定められているが、それ以上の償却を認めるというものである。
 早く減価償却を行い、資産の費用化を進めることができるので、圧縮記帳と同様に、税金の繰り延べ効果を持つ。

 このように言うと分かりにくいので、(この制度とは若干違うが、考え方を表すため)例を示すと、1000万円の資産を10年で減価償却すると、毎年100万円(=1000万円÷10年)分しか費用とならない。しかし、5年で減価償却できれば、毎年200万円(=1000万円÷5年)を費用とすることができる。総額としては、どちらも1000万円が最終的には費用となるが、後者の場合には、多くに費用化されているので、その分、利益が減少し、5年間は税金が少なくて済む(逆に5年後は、この資産に関して費用がなくなるので、利益が上がり、税金が高くなる)。すなわち、この制度では、税金を納めるタイミングを後に回すことができるのである。


地方税の課税免除または不均一課税

 事業税、不動産取得税、固定資産税の課税が免除されたり、安くなったりするという制度である。


④離島活性化交付金

 平成25年度から導入された交付金である。

 従来の制度が既存制度の補助率の嵩上げといった形で財政支援を行うものであったが、別途、予算措置されて交付金が措置されるというものである。また、従来の財政支援が(すべてではないが)ハード整備を中心としていたのに対して、ソフト支援も対象としている。
 ただ、この制度を利用するには、離島振興計画以外に都道府県による「離島活性化交付金等事業計画」の策定が必要となる。


支援制度の特徴

 地域振興に関する法律の中心的な支援制度としては、補助率の嵩上げや不均一課税などが中心である。
 ただ、この法律については、近年改正されたこともあり、「離島活性化交付金」という支援制度が設けられたことが特徴的であるといえよう。
 反面、配慮は定められているが、過疎法のように過疎債の発行(交付税措置)といった地方債への特例がなされていない。







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