乗数効果

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概要

 乗数効果とは、ある支出が行われたとき、その支出が様々な経済主体に回り、その支出以上に経済全体が拡大するという効果のことである。
 乗数効果自体は、投資や貨幣などについても見られる現象であるが、乗数効果といった場合、一般的には財政支出に対しての効果を指すことが多い。


メカニズム

 イメージとして、乗数効果のメカニズムについて、説明する。

 例えば、政府が100万円をある家計Aに支出したとしよう。
 家計Aはそのうち60%を消費に回し、企業Aから物を購入するとする。そうすると、企業Aは売上が60万円増えることになる。

 次に企業Aはその増加した60万円を単純に給料として、家計Bに渡すとする。家計Bは、給料として貰った60万円のうち60%の36万円を使い、企業Bから物を購入するとする。そうすると、企業Bは売上が36万円増加する。

 勿論、このようなメカニズムはその後も続くのだが、ここまでの効果を見ると、財政支出100万円に加え、企業Aと企業Bの売上増加がそれぞれ60万円と36万円あるため、合計196万円経済規模が拡大する。

 すなわち、経済が1.96倍(=経済規模拡大196万円÷財政支出100万円)となり、これが乗数効果と言われるものである。

乗数効果のイメージ
乗数効果のイメージ


数式モデル

 このようなメカニズムを、cは消費に回す割合(限界消費性向)、Gを財政支出、Mを乗数効果として、数式で表すとする。

 政府がGを支出すると、ある経済主体ではcGだけ使用される。更に、そのcGを他の経済主体ではcの割合だけ消費に回すため、c^{2}G(=c \times cG)が使用される。
 このように効果が無限大に続き、次のような式で表される。

  \displaystyle M=G + cG + c^{2}G + c^{3}G +

 これは等比級数なので、次式のようにまとめることができる。

  \displaystyle M=\frac{1}{1-c}G

 そして、乗数としては、この式の係数である\frac{1}{1-c}となる。

 この式から分かるように、cが低いと乗数効果は小さくなり、cが高いと乗数効果は高くなる。言い換えると、新たに得た所得を貯蓄に回すのではなく、消費に回す割合が高いほど、この効果は大きくなる。

 また、次々と消費が連鎖していくことを想定しているが、途中で消費の連鎖が留まれば、乗数効果は小さくなる。


その他のモデル

 更に、消費は国内製品だけに行われるわけではなく、輸入品の購入にも充てられる。また、増加した給料がすべて消費に使えるわけではなく、税金などもかかってしまう。
 そこで、輸入や租税などの効果を組み込んだモデルもある。この場合には、当然ながら、上記のモデルに比べ、乗数効果は小さくなる。

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