概要
よく衰退した地方経済のカンフル剤として、公共事業が求められます。また、東日本大震災により、改めて災害のリスクを認識させられた結果、防災という点でも公共事業が求められています。最近では、笹子トンネルの事件もあり、改めてインフラの老朽化が問題視されています。
しかし、今後の公共事業は、一層、地域を衰退させることになるでしょう。
公共事業の役割
公共事業は、元来、インフラを整備したり、そのインフラを更新する際に行われます。
ただ、公共事業を整理すると、次の3つの役割があります。
①新規
新たなインフラの整備
②更新
古くなった既存のインフラを維持するための更新
③防災
災害認識や基準が変わることによる、既存インフラの補修や新規インフラの整備
これからの公共事業
このとき、従来、地方を支えていたのは、新規の公共事業であす。
しかし今後、重要となるのは、更新や防災だと思います。これらはいずれも、既存のインフラがあるところにしか、需要は発生しません。そのため、地方などのインフラが乏しい地域には、必然的に需要は発生しにくくなります。
勿論、全くないわけではありませんが、よりインフラが整備されている都会に重点的に国の予算は配分されることになります。また、都会では、高速道路など早くから整備されているため、地方の高速道路などよりも、老朽化が進んでいます。
また、防災の場合には、津波対策など新規のインフラが整備される余地がありますが、地方は後順位になります。予算には制約がある以上、箇所付けの際に、(残念なことだが現実論として)より人口が多い地域が優先されます。
過去の高速道路、鉄道などのインフラを考えると、首都圏や関西圏などの都会を中心に整備されていった事実を考えると、新たな防災インフラについても、同様になるでしょう。
つまり、かつて公共事業は地方に新規投資を行うことで、都会と地方の再配分機能を果たしていました。しかし、これからは更新や防災が中心になるでしょう。そうすると、むしろ首都圏など都会で重点的に公共事業が行われることになります。
その結果、都会と地方の格差は一層大きくなるでしょう。
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