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対策を再検討したほうがいいと思うけど、自治体にとっては便利な東京五輪対策


オリンピック対策

 昨年、東京オリンピックが決まり、東京以外でもオリンピック対策を行う動きが出てきている。
 例えば、共同通信のアンケートによると、27道県7市で、東京オリンピックに関連した事業を勧めようとしているようだ。

ニュース2014年03月21日 四国新聞
27道県7市が東京五輪事業/14年度


 オリンピック自体はまだ先であり、現状は、オリンピック対策に向けた組織作りがメインである。
 ただその内容を見ると、大きく分けて3つの対策に分けられる。

①合宿・キャンプ誘致
 オリンピックが行われる前、選手が来日し、練習や調整などを行う合宿やキャンプの誘致を進めようというものである。
 日本での例として、日韓ワールドカップが開催されたとき、全国各地に各国の合宿先ができたが、まさしくこの効果を狙おうというものだ。

②観光客
 合宿・キャンプなども含めて、オリンピック期間に自分の地域に観光客を呼び込もうというものである。

③選手等の強化
 東京オリンピックに向けて、選手やコーチなどの強化を図り、東京オリンピックでの活躍を期待するというものだ。

 この他、福井県などでは、県産品を関係業界へ売り込もうとしているようなところもあるようだ。


戦略を再検討したほうがいいかも

 東京オリンピック開催から半年で、これだけ多くの自治体で対策などが検討されており、今後も対策を行おうとする自治体も増えてくると思われる。

 このように考えると、私はオリンピック対策を再検討したほうがいいのではないかと思う。予算・人員も限りがある中で、ライバルが多い中、どこの自治体でも行う必要はない。
 特に、従来・今後もスポーツなどの施策を強化していこうとしているならば、まだ問題はないが、東京五輪が決まったから、イベントとして対策を行おうとするのは、自治体の戦略としても良い話ではない。他の施策の予算・人員も削減されるし、地域のブランドとしても、一貫性がなくなってしまうからだ。

 また、効果としても、どれほどあるかはその内容によって異なるため、何とも言えないが、私自身はオリンピック自体の効果もやや疑問をもっている。
 なぜなら、長野オリンピックの結果からだ。

 右は、長野県の観光地延利用者数及び観光消費額である。
 長野オリンピックは、平成3年に開催が決定され、平成10年に開催された。その点で、平成3年に延利用者数は最高数となり、その後も、各種インフラの整備などで開催まで毎年1億人以上の観光客数を誇っている。ただ、平成3年から考えると、実際に開催された平成10年は、阪神淡路大震災のあった平成7年を除けば、観光消費額こそ最高額だが、延利用者数は最低だ。


平成24年観光地利用者統計調査結果

長野県「平成24年観光地利用者統計調査結果」


 つまり、オリンピックが開催された長野でさえ、このような状況なのだから、他の地域の効果について、疑問をもっているのだ。
 勿論、冬季と夏季の違いなどもあるだろうし、地域によってもその効果は異なってくるだろう。よく発表されるような単純に経済効果というものを考えるのではなく、私自身も効果にについて、まだまだ検証が必要だと思っている。
 ただ、東京オリンピックが決まったから、その対策を実施するというのは、安易と言わざるを得ない。


とはいえ、便利な五輪対策

 しかし、五輪対策というのは、行政・政治的に考えると、やりやすい面もある。

 1つは、観光事業というのは、施策に対する効果というのが、見えにくい。単純に自治体がキャンペーンをやったから増えたというわけではなく、インフラ整備やマスメディアのPRなど、様々な要素が絡み合う。しかし、上記のように、合宿誘致といった五輪対策の場合、その効果は可視化されやすい。合宿やキャンプの誘致に成功すれば、それだけで成果が生まれるからだ。

 2つは、議会対策である。東京五輪が決まれば、議員から五輪対策の必要性について質問が出てくる可能性が高い(もうすでに出ている自治体もあるだろう)。そうなると、何もしていないという回答はしにくいものだ。
 この点で、オリンピック対策を実施しているスタンスも自治体としては必要になる。

 これらの点から、五輪対策というのは便利な施策なのである。

 ただ上記で述べたように、まだまだ時間はあるので、対策を行うか否かも含め、各自治体で改めて考えたほうがいいと思う。







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