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国による「街コン」支援。重要なポイントは、補助をすべきかどうかではない。


概要

 少子化対策のため、国では「街コン」に補助しようという動きがあるようである。

外部リンク2013/11/29 朝日新聞「「街コン」に税金使っていい? 政府の少子化対策で浮上


 これに対して、Yahoo!のアンケートで、現在、「少子化対策で政府が「街コン」補助、どう思う?」という意識調査が行われ、途中経過だが、約7割が反対、約2割が賛成、どちらともいえないというのが1割となっている。

外部リンクYahoo!意識調査「少子化対策で政府が「街コン」補助、どう思う?


 どうも気になったので調べてみると、この議論のポイントは、「街コン」を支援するかどうかという点ではなく、地域の状況に応じた少子化対策を行うべきかどうかということにあるということだ。
 そしてこれには、「少子化危機突破基金」の創設というものが絡んでいる。


経緯

 従来から、国では少子化対策を行っており、少子化社会対策基本法に基づいた少子化社会対策会議というものがある。そして、6月7日に「少子化危機突破のための緊急対策」というものを決定している。
 この内容を見ると、元々は国は「街コン」を支援しようとしていたわけではなく、自治体が提案したモデル事業について、支援を行うことを考えていたようだ(その後の概算要求でも、この案で来年度予算を要求している)。


【少子化危機突破のための緊急対策】(抜粋)
(2)「地域・少子化危機突破プラン」の推進
○ 少子化対策においては、地域の実状に即した取組が重要である。このため、地方自治体が創意工夫した「地域・少子化危機突破プラン」を全国から公募し、その中からモデル的な取組を選定した上で、集中的にその取組を支援し、成果や課題について全国的に共有することにより、少子化対策の地域レベルでの取組を推進・加速化させる。


 他方、少子化対策は重要ということから、内閣府では今年3月から「少子化危機突破タスクフォース」というものを立ち上げ、新たな少子化対策案を検討している。その中で、山形県の吉村知事や三重県の鈴木知事から、自治体が自由に使える基金の創設を求める声が出ていた。
 また、これらは委員としての意見だが、7月8日・9日の全国知事会の意見として「次世代育成支援施策の充実に関する提言」をまとめ、基金の創設を求めることになった。


【次世代育成支援施策の充実に関する提言】(抜粋)
1.国策としての少子化対策の推進について 少子化の様々な要因に社会全体として取り組み、抜本的な環境の改善を図るために、特に次の施策について、国においても積極的な支援を行うこと。
(1)少子化の要因やその課題、必要な対策などは地域ごとに大きく異なることから、それぞれの地方が創意工夫し、地域の実情に応じて独自に取り組みを進めている様々な少子化対策を国が強力に後押しするため、自由度の高い「少子化危機突破基金」を創設するなど、国策として積極的な支援を行うこと。


 そして、その後も少子化危機突破タスクフォースが開催され、その提言として、11月26日に「少子化危機突破のための緊急提言」がまとめられ、「少子化危機突破基金」を要望することになった。


【少子化危機突破のための緊急提言】(抜粋)
1.都道府県に少子化危機突破基金を創設する
・「結婚・妊娠・出産・育児」の切れ目ない支援の充実・強化を早期に実現することが、少子化対策には必要不可欠である。一方で、例えば、都市部と地方部では「出会い」の機会や育児・出産環境等において、異なる状況に置かれており、採るべき方策も異なっている。このため、都道府県・市町村が、それぞれの地域の実情に即して結婚・妊娠・出産・育児の切れ目ない支援を早急に取り組めるよう、従来にない国の「切れ目ない」支援として、都道府県に「少子化危機突破基金」を創設し、地方自治体の取組を強力に後押しする。その際、地方自治体の財政の肩代わりとしないためのスキームとすることや、基金の政策効果をチェックするなど、効果的・効率的な運用ができる仕組みとする。


少子化危機突破基金とは

 国としては、この基金についてどうするかは今後のようだが、その内容については、全国知事会の要望を見れば、そのイメージはつく。
 11月26日に全国知事会の次世代育成支援対策プロジェクトチームによる森少子化担当大臣への要請資料では、次のようなものとなっている。

少子化危機突破基金について(集計に基づく試案)
「少子化危機突破基金」の必要性について(抜粋)


 この中に、「未婚者に交流の機会を提供する事業(交流のためのイベントの実施、実施団体への助成)」というものがあり、今回の国による「街コン」支援という話になったのだろう。


ポイントは何か

 しかし、上記の少子化危機突破基金の事業は、要望を行う上で、しっかりとした根拠を示すために試算したもので、あくまでも例示である。上記の経緯で分かるように、国は当初、国が決めるモデル事業を考えていたが、地方では基金化を求めてきたことを考えると、むしろ重要なのは、趣旨である「地方の創意工夫を活かした総合的な少子化対策を集中的に展開できる自由度の高い基金」という部分である。
 つまり、地方としては少子化対策として使える自由な財源が欲しいということである。

 この点で考えると、国が「街コン」に支援するのがいいのか悪いのかといった議論は、やや的外れな感じがする

 各地域で少子化対策として必要ならば「街コン」を行えばいいし、不要ならば行わなくてもいい。実際、街コンを行おうとしても、若者が少なくて成立しないといったところもあるだろう。これが、街コンなど一部の事業にしか使えないとなると、地域の実情に応じた少子化対策はできなくなる。

 むしろ重要なのは、基金の制度として、どれだけ国が縛りをかけずに、各地域が自由に少子化対策を行えるようにすることである。







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