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しっかりしよう! 青年会議所


 福井青年会議所が県外在住者に対して、Uターンなどについてアンケートを行ったそうだ。

外部リンク2013/11/24 福井新聞「「福井に戻りたい」87% 県外在住者にアンケート」


 これによると、福井に戻りたいと回答した人が87%いたそうだ。しかし、帰住予定が実際に「ある」としたのは全体の23%。福井には帰りたいが、実際には帰れないという現実が浮かび上がったというのが、このニュースの一つの趣旨である。

 しかし、このアンケートにはトリックがある。

 1つは設問である。福井県への帰住希望について「ある」「少しある」「全くない」という形で設問を設定し、「ある」と「少しある」を合わせた数値が87%となっている。このような設問を設定すれば「全くない」という数値が低くなり、「ある」と「少しある」を合わせれば、その数値が大きくなるのは当然だ。

 2つは、その内訳を見ると、「ある」が38%、「少しある」が49%、「全くない」が13%ということである。上記で述べたように、ここには、帰住予定が実際に「ある」という23%も含んでおり、この人はたぶんほとんどが、帰住希望について「ある」と答えているだろうと想定できる(逆に、帰住予定があるのに、帰住希望がないという可能性もあるが、それはそれで問題だろう)。
 Uターンについて考えるとき、帰住予定がない人に聞かなければ意味がない。そこで、帰住希望の「ある」人から帰住予定の「ある」人の割合を引くと、実際に帰住希望のある人は15%(=38%-23%)しかいないことになる。
 こうなると、若干は帰住希望が「全くない」という15%を若干上回るが、誤差の範囲ともいえるような水準しかない。

        帰住希望     帰住予定    実際の帰住希望
  ある     38%  -   23%  =   15%
  少しある   49%               49%
  全くない   13%               13%

 また、将来子育てしたい場所について聞いた設問もあり、現在子どもがいる層では37%、いない層では48%が「福井県」と答えたそうだ。このように見ると、一見、多くの人が福井県で子育てしたいと思っているように見えるが、逆に言えば、現在子どもがいる層では63%(=100%-37%)、いない層では52%(=100%-48%)が「福井県以外」で子育てをしたいと考えているということである。ニュース記事では、「~に達した」という表現で、いかにも福井県で子育てしたい人が多いように書いてあるが、福井県出身者でも、県外在住者は過半数が福井県で「子育てをしたくはない」もしくは「福井県以外で子育てをしたい地域がある」ということである。

 つまり、このアンケート及び解釈については、かなりバイアスがかかっているのである。

 ただ私は、福井県のことをとやかく言うつもりはない。
 むしろ、問題なのは、このようなことをやっている福井青年会議所(JC)である。このようなトリックを使って、自画自賛していては、どうしようもないと思う。会員個々人はどう思っているか分からないが、このようなことをやっていては、課題認識を誤ってしまう。

 このアンケートで最も重要なのは、帰住予定がない人の理由で、「やりたい仕事がない」というが43%で最も高かったという点だ。

 青年会議所(JC)といういう組織は、若き社会的リーダーを志す組織という建前であるが、少しでもJCのことを知っている人ならば分かると思うが、経営者の2世・3世などの組織である。社長が健在で、その子供がJCに入っている場合もあれば、世代交代し自身が経営者となり、JCにも所属していることもある。

 つまり、上記の帰住予定がない人の理由で「やりたい仕事がない」という問題について、社会・地域的な責任を負っている立場なのである。

 私は、JCという組織に対して、あまりいい印象をもっていない。しかし、JCという組織や理念は、悪いことではないと思っている。

 このような取り組みをすべて否定するつもりはないが、個々の会員が「やりたい仕事がない」という回答者が多いという現実をしっかりと認識し、そのような仕事を作るという社会的な責任をもっと考えるべきだろう。

 他方で、ここ数年、若い人で「社会起業」などが行われたり、社会貢献という点でビジネスパーソンや経営者のネットワークができていたりもする。本来的に言えば、このような仕組みの主軸になったり、プラットフォームになるべきなのが、JCであると思う。

 勿論、これはJCだけの問題ではなく、商工会議所や商工会なども含んだ地域の経済団体の問題でもある。

 ただJCに限って言えば、もっとJCはしっかりしてほしいと思うし、現状のままであるならば、JCなんていらないと思う。







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