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国土強靭化法を読んでみた…。なんだそういうことか。


概要

 自民党により国土強靭化が進められているが、国会で国土強靭化法案が提出されている。

 最初は昨年の国会に提出され、政権奪取の前なので廃案となった。
 そして、先の国会で、昨年の法案を修正して国土強靭化法(正式名:防災・減災等に資する国土強靱化基本法案)が提出された(継続審議)。

 今後、国土強靭化がどのように進んでいくかは重要であると思うので、(昨年のものも含めて)この国土強靭化法を読んでみた。

外部リンク第180回国会「国土強靱化基本法案」(昨年のもの)、
       第183回国会「防災・減災等に資する国土強靱化基本法案」(今年のもの)


特徴

 昨年の法案は、かつての国土開発計画以上のマスタープランとなっており、ある意味古臭く、何でもありの法案であった。

 そして今回の法案は、印象として、非常にまとまっている感じがする。
 昨年のものは、国土強靭化と言いながら、農村振興などが入っていたりしたが、今回は、復興予算流用問題などの批判を受けてか、大規模災害に限定的になっている。
 また、昨年のものは、地方自治体への義務づけ規定があったりと、現在の地方分権の流れに反するようなものも盛り込まれていたが、今回は「できる」という規定で義務化を外していたりしている。
 更に、「国民運動本部」という仰々しい組織作りもあったが、今回ではこのようなものはなくなっている。

 この点で、すっきりと今風に改められたようだ。
 ただ法案を見ても、具体的なことは書いておらず、法案成立後の「国土強靱化基本計画」で具体化されるので、現時点ではよく分からない。

 とはいえ、「国土強靱化基本計画」もこの法律の基本方針にしたがって、計画づくりが行われるので、基本方針を見れば、何をやろうとしているのか、そこはかとなく見えてくる。


基本方針から読み取れること

 基本方針は、4つのものから成り立っており、それぞれについて考えてみたいと思う。

①8条1号
 下のようにいろいろと書いてあるが、ポイントは体制の強化や体制整備といったところだろう。つまり、大規模災害対策として、何らかの組織や機関が作ろうということである。霞が関的に考えれば、独立行政法人や外郭団体などが作られるということだろうし、自治体などでも何とかセンターなどという形のものができたりして、国からお金が来るという話ではないだろうか。
 また、「女性、高齢者、子ども、障害者」といった若干、突飛な表現が使われていることから、大規模災害と絡んでいるのか絡んでいないのかのか、よく分からないが、ソフト支援が行われるということか。

迅速な避難及び人命の救助に資する体制の確保、女性、高齢者、子ども、障害者等の視点を重視した被災者への支援体制の整備、防災教育の推進、地域における防災対策の推進体制の強化等により、大規模災害等に際して、人命の保護が最大限に図られること。


②8条2号
 これはよく分からないというのが正直なところだ。ただ、あまりにも抽象的であるので、この部分は、比較的何でもできるような気がしているし、国土強靱化基本計画策定においては、この部分に注意しなければいけないだろう。

国家及び社会の重要な機能の代替性の確保、生活必需物資の安定供給の確保等により、大規模災害等が発生した場合においても当該機能が致命的な障害を受けず、維持され、我が国の政治、経済及び社会の活動が持続可能なものとなるようにすること。


③8条3号
 これは単純な話で、公共事業をやろうというものである。

地震による建築物の倒壊等の被害に対する対策の推進、公共施設の老朽化への対応、大規模な地震災害、水害等の大規模災害等を防止し、又は軽減する効果が高く、何人も将来にわたって安心して暮らすことのできる安全な地域づくりの推進、大規模災害等が発生した場合における社会秩序の維持等により、大規模災害等に起因する国民の財産及び公共施設に係る被害の最小化に資すること。


④8条4号
 これも比較的読み取ることは簡単で、昨年の法案にもあったが、高速道路を作ったり、新幹線や港湾整備などを行おうというものだと思われる。

地域間の連携の強化、国土の利用の在り方の見直し等により、大規模災害等が発生した場合における当該大規模災害等からの迅速な復旧復興に資すること。


実は、ポイントは他にもあるのではないか?

 上記のように考えると、昨年のようなものならいざしらず、この法案に関しては、別に大した法案ではないと思う。なぜならば、今年の予算でも強靭化計画が進められていると言われているように、このような法案がなくても、現行の制度などで対応可能だからである。

 この点で、昨年の法案と今年の法案の相違点を見ると、何となく見えてくるものがある。

 1つは、今年の法案はうまくまとまっているということである。いずれも議員立法で提出がなされているが、今年のものは霞が関がタッチしている可能性が大きい。

 2つは、国土強靱化推進本部という実施体制のところで、本部長は内閣総理大臣で、副本部長は担当大臣となっている。ただ、昨年にはなかったが、今年の法案では、副本部長に国土交通大臣が加わっているということだ。

 つまり、これらから読み取れることは、大きく国交省がコミットメントしてきたということだろう。

 金融政策・消費税などでは財務省が大きく主導し、成長戦略では経産省が大きく絡んでいる。そのような中、国交省としても面目躍如を果たすべく、好調な安倍政権に乗っかり、アベノミクスの主導権とまではいかなくても、大きな部分で影響力を発揮するため、国交省が力を入れてきたということだろう。

 あくまでも推測にすぎないが、このように考えると、省庁間争いでの国交省の巻き返しということに過ぎないということか。







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