地域経済・地域政策について、批評・分析しています!!

もっと醤油産業を大事にしよう


醤油市場の落ち込み

 醤油市場は、バブル経済崩壊後、右肩下がりで大きく落ち込んでいる。
 右のグラフは、醤油の出荷数量の推移である。見ての通り、出荷数量は毎年のように落ち込み、1993年から比べると、20年後の2012年には約30%も減少している。
 様々な洋食文化などが浸透する中で、人口も増加しない以上、ある意味、この減少は仕方がない。
醤油の出荷数量の推移

醤油の出荷数量の推移

 しかし私は、醤油というものは、おもしろいと思っている。


醤油が面白いと思う理由

 醤油が面白いと思う理由としては、いくつかある。

 1つ目は、地域性があるということだ。よく知られるように、一般的な濃口醤油があるが、関西では薄口醤油、中部では溜り醤油など、地域色が強い。また、地域によっては、しょっつる、いしるのような魚醤もある。更に醤油は、地域の郷土料理などの味と結び付いており、一層の地域性を醸し出している。

 2つ目は、上記のように、醤油市場は落ち込みを見せているが、同時に用途としては拡大している。醤油そのものではなく、ポン・タレなど、様々な醤油をベースにした調味料や味付けがでていることも事実だ。確かに食の西洋化などにより、醤油の消費は減少したが、同時に、和風パスタのように西洋料理に醤油が使われるなど、その用途は拡大している。

 3つ目は、海外での和食ブームで、今後も、海外の醤油市場の拡大が期待できるという点だ。


地域によって異なる醤油市場

 そして何より、醤油が面白いと思う理由として、地域により醤油市場の在り方が異なるからだ。
 日本全体で見ると、大手の醤油メーカーが出荷額の半分以上を占めている。ただ、地域で見ると、県外への移出が多い地域があったり、自給自足的な市場構造である地域があったりする。

 ここで、次のような率を定義する。

  移出率=県外への出荷量÷出荷量

  移入率=県外からの移入量÷移入量

 移出率は、ある都道府県で出荷された醤油のうち、どれだけ県外に出荷されたかを表し、移入率は、ある都道府県に入ってきた醤油のうち、県外からどれだけ入ってきたかを示している。

 そうすると、右の図のような4つのパターンに分けられるだろう。

 1つは、「交易型」と呼ばれるもので、移出率・移入率ともに高く、県外から多くの醤油を移入するが、同時に県外へ多くの醤油を提供しているパターンである。
 2つは、「移出型」と呼ばれるもので、移出率は高いが移入率は低く、県内需要を賄ったうえでそれ以上の醤油を県外へ移出しているパターンである。
 3つは、「移入型」と呼ばれるもので、移出率は低いが移入率は高く、県内需要を賄えず、県外からの移入に多くを頼っているパターンである。
 最後は。「自足自給型」と呼ばれるもので、移出率・移入率ともに低く、県外へは移出はあまりしていないが、県外からの醤油にあまり頼っていないパターンである。

 そしてこれらを、平成23年の醤油出荷量でみると、右のようなグラフになる。見ると分かるように、都道府県によって、大きく市場が異なっている。

醤油市場のパターン

醤油市場のパターン


醤油の移出率・移入率

醤油の移出率・移入率

 これを具体的に移出率・移入率について50%で区切って、4つのパターンに都道府県を分類すると、次のようになる。

 このとき、それぞれのパターンで、例えば、次のような戦略例が考えられる。

 パターンとしては移入型が多いわけだが、例えば、交易型や移入型などは、移入率が高く、他の地域からの醤油に依存している状態であり、まずは地元の醤油の利用促進を図るべきであろう。上記のとおり、醤油は地域性があり、地域の料理との結びつきが深い。例えば、中国地方の県は移入型に属しているが、再仕込み醤油など特徴のある醤油もある。元来ある地域の醤油を、地域内でももっと消費し、地域文化を守ったり、観光客などへは地域の醤油を使うことにより地域性をもっと打ち出し、地域の醤油の消費拡大を図る必要があるのかもしれない。

 自給自足型は、もっと地域外への展開をすることを考えるべきである。特にこのゾーンは、魚醤のある秋田県石川県、白醤油の愛知県など、特徴的な醤油のある都道府県も多い。このような強みを活かし、醤油の移出を拡大すべきである。

 移出型は、千葉県兵庫県など、大手の醤油メーカーの工場が立地している場合が多い。更に海外展開を進めるなど、国内市場のみならず、海外市場を狙うべきであろう。


もっと醤油産業を大事にすべきだ

 以上のように、醤油は用途の拡大、地域性、海外市場の拡大など、面白い特性を有している。そして地域により、様々な戦略も考えることができる。
 醤油市場自体は小さいかもしれないが、このような特性を醤油は有しており、もっと地域において、醤油というものを真剣に考えてもいいのかもしれない。








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