地域経済・地域政策について、批評・分析しています!!

復興予算流用問題、行政の本質的な問題だ。


概要

 東日本大震災に関する復興予算について、地方自治体での使い方が問題となっていたが、国より地方自治体に対して返還を求めるという方針が示された。

外部リンク時事ドットコム 2013/07/02「復興予算、1000億円返還を=自治体基金の流用問題で-政府


 流用問題については、被災者からすると「何で私たちのところにお金が来ないのか?」という話になるし、納税者という立場からすると「そんなことのために増税を認めたわけではない」という話になるだろう。

 しかし、「復興予算の使い方が問題視されているようだ。問題がないにもかかわらず…。」で述べたが、地方自治体としては、被災者支援以外にも使っていいという国のルールである以上、被災者支援以外に流用して使うだろう。逆にいえば、もしそのようなお金を貰わなければ、他の自治体ではお金を貰い地域活性化を行っているのに、貰えるお金を貰わなかったという点で、その自治体は責任を負う。

参考復興予算の使い方が問題視されているようだ。問題がないにもかかわらず…。


 ただ今回の問題は、復興予算が沖縄の道路や捕鯨対策に使われていたのと同じように、行政の本質的な問題をはらんでいる。


補正予算の問題

 本質的な問題としていくつかあるが、まず補正予算の問題がある。
 予算については、当初予算と補正予算というものがあるが、予算の査定(財政当局によるチェック)において、補正予算は甘くなるのが常である。

 当初予算は、毎年決まって調定され、ほぼスケジュールも決まっている。国でいえば、6・7月頃から概算要求に向け、各省庁で動きだし、様々なチェックや調整をして、最終的には12月まで、当初予算をまとめるため、作業が行われる。つまり、半年近くかけて、当初予算はまとめられるのである(自治体であっても、10月ぐらいから1月ぐらいまでの4ヶ月を費やす)。この点で、様々なチェックが入ったり、途中の概算要求の段階で公表もされるので、国民の目にも曝されるのである。

 しかし補正予算の場合には、基本的には緊急的なものについて、調定されるものであるので、このチェックが甘くなる。また、緊急性があるため、予算をつけるかつけないかという点よりは、まずは予算をつけるという姿勢で査定も行われやすく、中身についての議論も当初予算に比べ、弱くなる。

 すなわち、補正予算というのは、チェックが甘くなりがちという側面を持っている。


予算査定の問題

 このような補正予算の特徴については、当然ながら、役人は知っている。
 そこで、補正予算にあっては、当初予算では難しいものを要求するということも出てくる。

 逆に財政当局としても、特に今回の復興予算のような大きなものの場合、予算を積み上げなければならない。通常、財政当局は予算をカットする立場なのだが、復興予算のような場合には、予算をつけるから事業案(予算のネタ)がほしいという立場になる。当初予算では認められないが、今回のような復興予算では認めるという形になる。

 そのため、(あくまでも想像だが)財政当局と予算要求省庁の間で、「かつて当初予算では認めなかったが、今回の復興予算で認めてやる」というやり取りがあっただろうし、当初予算と一緒に予算要求をしている場合には、「当初予算では認めることはできないが、復興予算では予算をつけることができる」という話があったと思われる。

 そうなると、ただでさえ予算が厳しい各省庁としては、当初予算は諦め、復興予算で予算を要求することになる。この結果、今回の復興予算流用問題が生じることになったのだろう。

 このような事態について、想定していなかったとすれば、官僚の甘さがあったのだろう。しかし、官僚の優秀さを想定すれば、当然ながら、このような事態は予想できたはずである。財務省と各省庁の間で、どこまでコミットメントや合意があったのかは知らない。財務省としては、あえて細かなルールにタッチせず、各省庁に責任を押し付け、財務省批判を避けているのかもしれない。逆に、各省庁としては、財務省の了解を得て、財務省の責任としようとしたのかもしれない。

 いずれにせよ、上記のような予算査定の問題があるのである。


そもそもの問題

 私はそもそもの問題として、復興予算について、国がこの配分権をもったということ自体に問題があるのだろうと思う。

 予算を集める仕組みも大事だが、どう配分するかも重要である。しかし、それを被災地以外の霞が関の人が決めるということが問題の根本である。

 国が予算を配分するのではなく、被災地の自治体に対して、復興予算をそのまま渡してしまえばよかったのだろう。それでも配分という問題が生じるが、(極端なことを言えば被災地のみで)被災地を交え、人的・物的被害で基準を決め、特別交付金などで処理すべきであったと思う。

 勿論、被災者は被災地の自治体に留まっているわけではないが、これについては、被災地の自治体から他の自治体への協力や委託などの形で、処理ができるはずである。そうなるとマンパワーの問題が生じるが、これこそ国の仕事であり、「各自治体から○名被災地へ派遣しなさい」という法律を作ればいい話である。

 今回の問題は、「自治体が復興予算を流用した」とか、「それは問題だから返還しろ」とかといったミクロな問題ではないと思う。
 問題の本質を矮小化し、事足れりとしてはいけないと思う。








コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA




分野

地域経済地域経済 (102)
地方行政地方行政 (80)
地域金融地域金融 (22)
地方財政地方財政 (35)
その他その他 (61)
社会福祉社会福祉 (8)
地域活性化地域活性化 (72)
商店街商店街 (15)
エネルギーエネルギー (17)
農林水産業農林水産業 (34)
インフラインフラ (32)
観光観光 (70)
地域政策地域政策 (104)