地域経済・地域政策について、批評・分析しています!!

経済規模が小さな都道府県でも、豊かな所得を得ることができる!


経済規模が大きな都道府県は豊かである

 1人当たりの県民所得のトップは、毎年、東京都である。
 これを見ると、やはり経済規模が大きいほど、県民所得が豊かなのだと思う。逆に、経済規模が小さな都道府県は、どうしようもないという気がしてくる。

 これを端的に表したのが、右図である。
 この図は、1人当たり県民所得と県内総生産の相関係数の推移を表したものである。変化はあるものの、0.8前後で推移しており、高い相関を示している。

参考相関係数

 すなわち、GDP規模が大きな都道府県は、1人当たりの県民所得も高く、GDP規模が小さな都道府県は、1人当たり県民所得は小さくなってしまうということだ。

1人当たり県民所得と県内総生産の相関係数

1人当たり県民所得と県内総生産の相関係数


経済規模が大きな都道府県は豊かな理由

 理由としては、規模の経済や何らかの外部性が働き、経済規模の大きさが1人当たりの県民所得にも、影響を与えているということであろう。
 そしてこれは単純な算数で説明することができる。

 外部性と労働力だけからなる、次のような単純な生産関数を仮定する。YはGDP、A外部性Lは労働力、\alpha規模の経済を示すパラメーターとする。

 (1)  \displaystyle Y=AL^{\alpha}

 まず、外部性について考える。外部性は経済規模に応じて大きくなるとし、次のように仮定する。

 (2)  A=\beta Y

 また、外部性のみを考えるため、規模の経済は一定とし\alpha=1とし、(2)式を(1)式に代入し、1人当たりGDPをyとすると、次のようになる。

 (1)’  y=\beta Y

 この式から分かるように、\betaが1以上であれば、経済規模という外部性により、経済規模が大きくなるほど、1人当たりGDPも高くなる。

 次に、規模の経済についても考える。
 外部性については無視するため、A=1とすると、(1)式より、1人当たりGDPは次のようになる。

 (1)”  \displaystyle y=L^{\alpha-1}

 この式により、\alpha>1で規模に関して収穫逓増であれば、労働力が多くなるほど、1人当たりのGDPも高くなる。

 以上のように、外部性や規模の経済を考えれば、経済規模が大きな都道府県は、より豊かな所得を得られるだろう。


実は、外部性や規模の経済の効果はあまりない

 しかし、上記の相関係数に関するグラフについて、正しくない面がある。

 右図は、上記と同じ1人当たり県民所得と県内総生産の相関係数である。しかし、東京都を除いたものである。
 上記のグラフでは相関係数は0.8程度であったが、このグラフでは0.5~0.6まで値が低下している。確かにそれでも0.5~0.6の値があり、ある程度の正の相関は見られるが、東京都を除いた場合には、1人当たり県民所得と県内総生産の相関関係は弱まるということだ。
1人当たり県民所得と県内総生産の相関係数(東京都を除く)

1人当たり県民所得と県内総生産の相関係数
(東京都を除く)

 これは、東京都においては、何らかの外部性や規模の経済が大きく働いているが、それ以外の地域ではこれらの効果は、比較的弱いことを示している。
 すなわち、経済規模が小さな都道府県でも、1人当たり県民所得を大きくすることができるということである。


何が、1人当たり県民所得を高めるのか

 実は、1人当たり県民所得と相関の高い指標がある。これは、GDPに対する移出入等の比率である。

 右図は、1人当たり県民所得と移出入等比率の相関係数である。おおよそ0.8前後で推移し、高い相関を示している。また、上記のように、東京都を除いた場合でも、若干値は低下するが、0.7台の値である。

 このことから、移出入等比率が高い都道府県は、1人当たり県民所得も高くなる傾向が見られる。

1人当たり県民所得と移出入等比率の相関係数

1人当たり県民所得と移出入等比率の相関係数


移出入等比率が1人当たり県民所得に与える影響

 移出入等比率が1人当たり県民所得に与える影響を、上記と同様に、単純な算数で考えてみる。

 上記では生産関数で考えたが、ここでは、次のようなマクロの需要式を考える。YはGDP、Cは消費、Iは投資、Gは政府支出、Xは移出入等(移出-移入)である。

 (3)  Y=C+I+G+X

 1人当たりGDP yを求めるため、人口Nで割ると、(3)式は、次のようになる。それぞれの小文字は、1人当たりの値であることを示している。

 (3)’  y=c+i+g+x

 ここで、1人当たり移出入等xは、x=X/Nであり、次のように変形できる。

 (4)  \displaystyle x=\frac{Y}{N}\cdot\frac{X}{Y}

 Y/Nは1人当たりGDP yX/Yは移出入等比率である。この移出入等比率X/Y\gammaとし、(4)式を(3)’式に代入し、変形すると次のようになる。

 (5)  \displaystyle y=\frac{1}{1-\gamma}\cdot(c+i+g)

 この式から分かるように、移出入等比率\gammaが大きいほど、1人当たりGDP yが高くなる。

 また、\frac{1}{1-\gamma}乗数的な効果もあり、移出入等比率\gammaが大きいほど、1人当たりの消費cなどが増加した場合、1人当たりGDP yへの効果も大きい。逆に、交易条件が悪く、移入超過で移出入等比率\gammaがマイナスの場合には、1人当たりの消費cなどが増加しても、1人当たりGDP yへの効果は減殺されてしまう。


まとめると

 以上から、地域経済にとって、移出を増やし移入を減らして、移出入等比率を高めることが重要である。

 どこの地域でも、移出を増やし移入を減らすことの重要性は理解しているだろう。しかしこれは、経済規模を大きくすることにもつながるが、むしろ1人当たりの県民所得を高める効果をもたらすことができる。
 そして、経済規模が小さな都道府県でも、1人当たりの県民はより豊かになれることを示唆している。

 移出入等比率は、年によって変化するが、マイナスの都道府県はマイナスが続き、プラスの都道府県はプラスが続くというように、その地域の経済構造を表している面が強い。

 県民1人1人がより豊かになるには、地産地消により移入を減らし、都道府県外への移出競争力をいかに高めるかがポイントである。しそして、このような経済構造をいかに作り出していくかが重要である。








コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA




分野

地域経済地域経済 (102)
地方行政地方行政 (80)
地域金融地域金融 (22)
地方財政地方財政 (35)
その他その他 (61)
社会福祉社会福祉 (8)
地域活性化地域活性化 (72)
商店街商店街 (15)
エネルギーエネルギー (17)
農林水産業農林水産業 (34)
インフラインフラ (32)
観光観光 (70)
地域政策地域政策 (104)