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中小企業施策はやめたほうがいい?


中小企業施策は無駄である!

 中小企業施策について、効果が上がっていないという話がある。
 劇的な成果を上げたという事例が少なく、どの地域でも中小企業の状況は厳しいままだ。実感としても、その効果は見えにくく、何をやっているのか分からないという場合も多い。
 そのため、税金の無駄である、中小企業施策をやめたほうがいいという意見が当然、浮かび上がる。


なぜ、中小企業施策はうまく行かないのか?

 中小企業施策がうまく行かない理由はいくつかある。

①そもそも不要な施策である。
 基本的にはビジネスの話なので、行政が絡んで、何かを行うという必然性はない。極端に言えば、やらなくてもいい施策である。実際、小さな市町村では中小企業施策など行っていない。逆に、基礎的自治体であっても、規模が大きくなれば、中小企業施策を行っている。つまり、財政的に余裕が出れば、行うといった程度のもので、本来、必要がないのかもしれない。

②国の施策で中小企業施策を行っている
 中小企業施策といっても、それぞれの自治体の自主予算で行っているとは限らない。国からの補助などで行っている場合も多い。当然、その補助には使い道が決められているため、その地域に応じた中小企業施策を行いにくい面がある。

③人事異動がある
 通常、行政では2・3年で人事異動となる。しかし、中小企業施策をうまく行うには、どのような企業が地域内にあるか、(悪い意味ではなく)中小企業の経営者などと人脈があるかなどが重要となってくるが、このような人事制度ではなかなかそのような人材が育ちにくい面がある。

④競争的ではない
 中小企業施策の基本は、相談・アドバイスである。中小企業施策を行っている自治体では、まず、制度融資や相談・アドバイスが行われる。しかし、その相談・アドバイスに関して、実は競争的ではない。相談・アドバイスといった場合、中小企業診断士などの協会が絡んでいる場合が多いが、能力ではなく、実績やよく知っているなどの理由で、相談・アドバイスがそれらの人たちによって行われる。しかし、スポーツなどを見たら分かるように、能力と実績などは実は無関係だ。その結果、中小企業施策の基本である相談・アドバイスについて、うまくいかない。

⑤そもそも中小企業施策を利用する企業は良くない企業である
 語弊があるかもしれないが、端的にいうならば、業績がいい企業は中小企業施策を利用していない場合が多い。逆に、業績がよくないからこそ、中小企業施策を利用する場合が多い。(改善の余地が多くあり、中小企業施策について効果が出やすい点はあるが)極端な場合、どうしようもなくなったときに、行政や支援センターに駆け込むという場合もある。そのため、効果が出にくい面がある。

⑥支援が必要でないところに支援している
 中小企業の定義は、製造業ならば資本金3億円以下、従業員数300人以下の企業である。確かに、従業員数何千人といった企業がある中で、このような規模の企業は中小企業と言えよう。しかし、従業員数が何十人もいるような企業はある程度、人も揃っており、公的支援に頼らず経営を行っていくべきである。ただ現実は、このような企業でも中小企業支援を受けている場合も多い。

⑦何となく中小企業施策をやっている
 行政的には、効果などは問題ではない面がある。むしろ、中小企業支援を行っているという事実・スタンスがまず重要である。そのため、何となく中小企業施策を行っている場合も多い。自分のところはこの程度の自治体の規模だから、隣接する自治体と比較して、このぐらいは行なおうという形で、中小企業施策が決められることもある。


とはいえ、中小企業施策は必要だ

 いくつかの問題点があるが、やはり中小企業施策は必要だと思う。
 上記のように支援の効果はなかなか見えにくい。ただ、信用保証協会や制度融資などは、お金を借りにくい中小企業にとって必要であり、逆に言えば、これらがなければ中小企業金融は立ちいかないだろう。また、相談・アドバイスなども、売上が端的に変わるようなことを行っていなくても、中小企業の業務運営などに役立っている場合も多い。なぜなら、中小企業の課題は売上だけでなく、組織・財務・業務など様々なものがあるからだ。特に、個人事業主などのように、圧倒的に様々な経営リソースが欠けている場合も多い。このような企業については、支援は必要だろう。
 また、地域経済にとって、中小企業は経済・産業の基盤であることを考えると、中小企業施策は必要である


今後の中小企業施策の注意点

 ただ、これまでのような中小企業施策はやめたほうがいい。\r\n このことで、次のような点に注意すべきである。

①中小企業の範囲を狭める
 まず、上記で述べたように中小企業の範囲が広すぎる。(小規模企業という概念が現在でもあるが)例えば従業員数10人以下などともっと中小企業の範囲を狭めたほうがいい。逆に、従業員数が多い企業は、このような支援策を利用せず、自らのリソースで経営を行っていくべきだ。

②支援策を利用しない企業を育てる
 中小企業施策を利用する企業は良くない企業である。中小企業施策を行う行政機関は、いかに支援策を利用しなくても済むような企業を育てるかに注力を注ぐべきだ。

③中小企業施策ではなく、産業施策へ
 中小企業支援の基本は個別企業支援である。しかし、地域経済にとって重要なのは、その地域の産業である。その点で、中小企業支援ではなく、いかにその地域に産業を生み出すか、発展させるかが重要である。このとき、中小企業にこだわる必要は全くない。その地域で重要ならば、大企業を支援すればいい。その結果、その地域の経済が潤うならば問題ないだろう。現在でも、その地域にとって重要な大企業などについて、行政が暗黙的にサポートしている場合も多い。むしろ、明示的にサポートを行い、その地域の中小企業も潤うような形で、施策を展開したほうがよい。

④国は中小企業施策をやめる
 国が中小企業施策を行うと、画一的なものになったり、全国一律のルールで運用される。しかし、地域には地域独自の課題があり、また上記のような大企業支援を行う必要があるところもあるだろう。このように考えたときに、中小企業支援は国ではなく、地域が主体となって行うべきである。

⑤運用を見直す
 中小企業施策を実際に行う場合に、そのツールは限られている。

参考施策ツール

 ここで重要なのは、それを運用する人・組織であったり、ツールの運用方法である。特に、どこの自治体でも同じようなことを行っているが、違いが出るのはこの運用面だ。他の地域よりも、よりよい中小企業施策を行いたければ、この運用面をしっかりと丁寧に再検討すべきである。


 以上のように、これまでのような中小企業施策をやめ、新たな中小企業施策のあり方を再検討すべきだと思う。








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