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医療計画という規制手段について


概要

 規制緩和が叫ばれる中、よく言われる分野として医療がある。実際、医療分野については様々な規制があるが、その中の一つに医療計画というものがある。
 医療計画は、1985年の医療法改正より導入された。国の方針に基づき、医療提供体制の確保を図るため、都道府県が策定しなければならないものである。5年に1度見直す必要があり、この医療計画に基づき、都道府県は地域医療行政を行っている。
 ただし、市場原理・地方分権などの観点から問題のある制度だと考えている。


医療計画の内容

 医療計画においては、次の事項を定めなければならないとされている(医療法30条の4第2項)。
 すべてが重要であるわけだが、特にポイントは、9号で「区域の設定に関する事項」とあるように医療圏の設定、10号の基準病床数である。

一  都道府県において達成すべき第四号及び第五号の事業の目標に関する事項
二  第四号及び第五号の事業に係る医療連携体制(医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携を確保するための体制をいう。以下同じ。)に関する事項
三  医療連携体制における医療機能に関する情報の提供の推進に関する事項
四  生活習慣病その他の国民の健康の保持を図るために特に広範かつ継続的な医療の提供が必要と認められる疾病として厚生労働省令で定めるものの治療又は予防に係る事業に関する事項
五  次に掲げる医療の確保に必要な事業(以下「救急医療等確保事業」という。)に関する事項(ハに掲げる医療については、その確保が必要な場合に限る。)
 イ 救急医療
 ロ 災害時における医療
 ハ へき地の医療
 ニ 周産期医療
 ホ 小児医療(小児救急医療を含む。)
 ヘ イからホまでに掲げるもののほか、都道府県知事が当該都道府県における疾病の発生の状況等に照らして特に必要と認める医療
六  居宅等における医療の確保に関する事項
七  医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者の確保に関する事項
八  医療の安全の確保に関する事項
九  主として病院の病床(次号に規定する病床並びに精神病床、感染症病床及び結核病床を除く。)及び診療所の病床の整備を図るべき地域的単位として区分する区域の設定に関する事項
十  二以上の前号に規定する区域を併せた区域であつて、主として厚生労働省令で定める特殊な医療を提供する病院の療養病床又は一般病床であつて当該医療に係るものの整備を図るべき地域的単位としての区域の設定に関する事項
十一  療養病床及び一般病床に係る基準病床数、精神病床に係る基準病床数、感染症病床に係る基準病床数並びに結核病床に係る基準病床数に関する事項


医療圏及び基準病床数

 医療圏は次の3つの区域設定がなされ、この医療圏ごとによって医療体制が定められる。特に重要なのは、医療圏により設定される基準病床数である。都道府県は、病院の開設や病床数の増減について、許可権限を有する。そのため、医療計画で定められた基準病床数に基づき、その許可等を行う。法律上も「医療計画において定めるその地域の当該申請に係る病床の種別に応じた基準病床数に既に達しているか、又は当該申請に係る病院の開設若しくは病床数の増加若しくは病床の種別の変更によつてこれを超えることになると認めるときは、許可を与えないことができる」(一部省略)という規定があり、都道府県は病院開設や病床数を調整できる。
 つまりこの医療計画に基づいて、都道府県は病院数や病床数をコントロールでき、市場原理に反した規制となっている。しかもこの規制が地方で自主的に作られたものならばいざ知らず、その規制は国が定めたものであり、この医療計画以外で様々な国による規制がなされている。例えば、保険医療機関の許可は厚生労働省の権限である。これは、健康保険の制度を病院として利用するには、保険医療機関の指定を受けなければならない。逆に言えば、患者としてこの指定を受けていない病院にいっても、健康保険は使えない。このように様々な形で、国は規制を加えている。

1次医療圏 法令上、規定はないが、いわゆる「市町村」を単位とする範囲
2次医療圏 複数市町村を単位とするもので、「地理的条件等の自然的条件及び日常生活の需要の充足状況、交通事情等の社会的条件を考慮して、一体の区域として病院及び診療所における入院に係る医療を提供する体制の確保を図ることが相当であると認められるもの」(医療法施行規則30条の29第1号)
3次医療圏 いわゆる都道府県を単位とするもの。「ただし、当該都道府県の区域が著しく広いことその他特別な事情があるときは、当該都道府県の区域内に二以上の当該区域を設定し、また、当該都道府県の境界周辺の地域における医療の需給の実情に応じ、二以上の都道府県の区域にわたる区域を設定することができる。」(医療法施行規則30条の29第2号但書)


補助金・交付金

 医療計画を策定すること(医療計画に基づく実施計画を策定すること)で、「医療提供体制施設整備交付金」や「医療提供体制推進事業費補助金」を、地方は国からもらうことができる。
 更にややこしいのが、医療計画以外にも都道府県に対して計画策定が義務付けられており、交付金などの措置がなされている。

(医療計画以外の計画例)

  • 周産期医療体制整備計画
  • 地域医療再生計画
  • へき地保健医療計画
  • がん対策推進計画
  • 感染症予防計画
  • 新型インフルエンザ対策計画 など


まとめ

 規制イコール悪というわけではないが、以上のように、規制や補助金などで市場を歪めたり、自治体をコントロールしている。
 医療計画一つをみてもこの通りであり、規制緩和・地方分権という観点から、ある種の根深さを感じている。







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