地域経済・地域政策について、批評・分析しています!!

指定都市・中核市・特例市制度は、問題のある制度だ。


 指定都市、中核市、特例市の制度は、より人口の多い自治体に対しては、都道府県の関与をなくし、市の自主的な行政運営を行わせようというものである。その意味では、地方分権の趣旨に沿っているかのように見える。
 しかしそもそも、次のように理念なき制度といわざるを得ない。

 1つ目があくまでも、都道府県から市への分権に過ぎないという点である。地方自治の枠内で、その事務・権限をやり取りしているに過ぎない。国が地方に対して分権化を行わず、ただ単に都道府県から市への分権では意味がない。

 2つ目は、2重・3重行政を招きやすいという点である。特に指定都市では、都道府県と指定都市が同じような権限・事務をもち、行政運営を行わなれるため、同じような事業・施設が生じることになる。例えば、中小企業支援センターという機関はすべての都道府県にあるが、同時に指定都市の多くで同様の機関を有している(神奈川県でいえば、県の機関として神奈川産業振興センター、市の機関として横浜企業経営支援財団がある)。

 3つ目は、県庁所在地の市と都道府県は、うまく連携がとれていない(むしろ仲が悪い)場合が多い。県庁所在地の市は、比較的財政・組織・人材などの面で、他の市町村よりは基盤が整っており余裕もある。そのため、県庁所在地の市だけで独自の行政運営を行う場合が多くなる。が同時に、その背景には指定都市、中核市、特例市のような制度がこのような関係を作っているという側面がある。

 4つ目は、特に指定都市では、都道府県の業務を行うなど肥大化を招き、基礎的自治体としての役割から遠くなっている点である。自治体はそれぞれルールを定め、業務運営を行っている。このとき、ルールを適用するという点を考えたとき、人数が少ないほど、ルールは最適化しやすい。言い方を変えると、ターゲットを広げると一般的なサービスしか提供できなくなるが、ターゲットを絞るとよりそのニーズに合ったサービスを提供できる。その意味で、基礎的自治体が存在する理由としては、よりターゲット(住民)を絞ることで、そのターゲットに合ったサービスを提供できるという面がある。このように考えると、指定都市はむしろ逆のことを行っている制度である。

 5つ目は、都道府県の役割の1つは、地方自治法にもあるように、広域性である。

都道府県は、市町村を包括する広域の地方公共団体として、第二項の事務で、広域にわたるもの、市町村に関する連絡調整に関するもの及びその規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものを処理するものとする。(地方自治法2条5項)

 都道府県は指定都市だけでなく、多くの市町村を対象とした自治体であり、地理的概念でその役割が異なっている。指定都市・中核市・特例市の背景には基礎的自治体の役割を強固にしようという考えがあるわけだが、地理的な概念がすっぽりと抜け落ちている。これらの制度で、いくら権能を大きくしても、それらの市の行政地域が変わるわけではない。この観点から考えると、都道府県の権限・事務を、単に市に移しても意味がない。

 以上のような点を考えると、指定都市・中核市・特例市といった制度には問題があると思う。
 行うべきは、特に指定都市は都道府県の業務を行うのではなく、分割や特別区の導入で基礎的自治体としての役割を取り戻すことである。逆にこのような市以外でも、都道府県が有している権限・事務を市町村に移したほうがいいものもある。移した上で、単独の市町村ではできないものについては、複数の市町村で事務組合などを設立し対応すればいい。

 重要なのは、ただ単に都道府県の権限・事務を市町村に移すということではなく、都道府県・市町村の役割を何であるかを再確認し、その業務を割り当てていくことだろう。








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