一時期言われた産業観光だけど、今一度産業観光について考える
産業観光について
産業観光という言葉がある。
東海旅客鉄道株式会社 相談役の須田氏が提唱した概念で、私の記憶によれば、2000年代中頃に広まったように思う。
産業観光の定義について、須田氏によれば次の通りだ。
「「産業観光」とは、歴史的文化的価値のある産業文化財(古い機械器具、工場遺構等)、生産現場(工場、工房、農漁場等)、産業製品等を観光対象(観光資源)として人的交流をはかる観光をいう。(第一・二・三次産業全てを対象とする)」(「「産業観光」をまちづくりの原動力に」月刊地域づくり平成23年8月号)
このように書かれると難しく感じるが、簡単に言うと、産業遺産や工場見学などを行う観光ツアーである。
外部リンク具体的な施設例「産業観光ガイド」
国や自治体などでも、産業観光について検討・推進してきたが、どうも盛り上がりに欠けるようだ。
なぜ、産業観光が盛り上がらないか
理由としては、幾つかあるが、代表的なものとして、次のものが挙げられる。
- 自治体や商工会などは、産業観光ガイドなどを作成しているが、それにとどまっている
- 実際に、ツアーなどを行うのは、旅行会社やガイドなどになるが、そのような人材がいない
- 産業遺産のような文化施設・博物館などは問題ないが、一般企業の工場見学の場合、土日が休みであったり、本業の片手間で観光客を受け入れているなど、企業の受入体制ができていない など
特に、企業の受入体制ができていない点などは、決定的に大きな要因だと思う。観光の中心は土日であるが、そのときに観光施設が休みであってはどうしようもない。また、企業PRや地域協力のためと思って、産業観光の受け入れを許諾しているが、実際の受入業務となると別である。大企業ならいざ知らず、地域の企業では、本業を差し置いて、観光客のために人員を確保したり、その体制を整えることは難しい。
これらのことから、産業観光は盛り上がらないと思われる。
たぶん、産業観光が盛り上がるには、現在の形ではなく、旅行会社・受入企業の間で人材を確保し、お金がうまく回るような新たな仕組みが必要なのだろう。
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