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地方公務員の給料が高い!


地方公務員の給料が高い!

 2月8日、総務省により、国家公務員よりも地方公務員の給料のほうが高いという報道がなされた。

総務省「平成24年地方公務員給与実態調査結果

 これは、給与改定特例法により、国家公務員の給料が下げられるためである。そしてこれを示すことで、地方自治体へ給与引き下げ圧力をかけている。
 ただここには、幾つかポイントがある。


【ポイント①】計算方法はこれでいいのか?

 ラスパイレス指数という指標を用いて、国との比較が行われている。
 総務省の資料による説明が端的なので引用すると、「国の職員数(構成)を用いて、学歴や経験年数の差による影響を補正し、国家公務員の俸給月額を100として計算した指数」というものである。

 もっともらしいが、国では官僚の天下り退職があるため、単純にはいえない。
 例えば、国家公務員を比較対象としているため、官僚の天下りに対するコストは入っていない。また、年齢があがると、キャリア官僚は退職するため、主にノンキャリが比較基準となる。そうすると、各機関にとっての異なる地位・立場での比較になっている可能性がある(わかりやすい例で言うと、国では課長補佐、地方では部長・課長の比較)。

 また、(人数が違うので)単純には言えない部分があるが、例えば、一般的に地方公務員のほうが短大卒や高卒などが多いので、本来、人件費としては地方自治体のほうが安価であるが、国家公務員の数を基準に給与比較を行うと、地方公務員のほうが数値は高めに出たりすることがある。

(例)大卒・高卒の給料が同じでも、その構成員によって、総額は異なる。
   下の例で分かるように、本来は高卒の人数割合は20%だが、それを10%に換算し直しただけで、その数値は上がる。

             地方  国基準   地方    国基準
   大卒 30万円   80人   90人  2400万円  2700万円
   高卒 20万円   20人   10人   400万円   200万円
     計       100人   100人  2800万円  2900万円

 なお、ラスパイエス指数自体は、物価水準の計算によく使われている。この他、パーシュ指数・フィッシャー指数などがあり、消費者物価指数(ラスパイレス指数)、GDPデフレーター(パーシュ指数)で採用されている。一般的に、ラスパイレス指数は価格に関して感応的である(価格に対して反応しやすい)。
 このように、指数を導入すると、逆にバイアス(歪み)が生じることがある。

 以上は、(算定基準となる国家公務員の人数が出ていないようなので)あくまでも推論的な話である。ただしそもそも、このような計算していることこそ、私は怪しいと思っている。最も単純な話では、人件費÷職員で考えれば、済む話である。その上で様々な分析をすればいい。
 一般常識として考えると、単純な話を複雑化するのには訳があると穿ってしまう。


【ポイント②】あくまでも時限的措置である

 今回の逆転現象は、国家公務員の給料が時限的に下げられたことによる。これが恒久的なものならば別だが、一時的措置に対して、地方が国からどうこう言われる筋合いはない。地方としては、これに伴い、恒久的に給与引下げを行うのか、国に合わせて2年間だけ、引き下げを行えばいいのか、戸惑うところである。

 そもそも給与引き下げの経緯を考えると、所得税等の増税とのバーター的な色彩が強い。基本的には地方税は増税など行っていないにも関わらず、給与引き下げを言われる筋合いはないだろう(ただし私自身、未確認だが、住民税は所得税額を基本に課税されるため、今回の増税で住民税も増額となる可能性がある)。


【ポイント③】地方自治体としてはいい話?

 とはいえ、これは地方自治体の首長にとっては朗報である。どこの自治体も財政難等から、職員の給料を引き下げたいところである。ただ、労働組合の関係などから、なかなか手を付けられないところも多い。そのとき今回の話は、給料引き下げについての言い訳に利用できる。期せずして、教職員の早期退職の問題があった。

例えば、2013年2月6日 時事ドットコム「駆け込み退職250人超」

 制度設計の不備などが指摘されているが、同時にこのような言い訳として、利用された可能性が高い。


【ポイント④】なぜ、地方公務員が国家公務員より給料が高くて悪いのか?

 そもそも、今回の指摘の背景には、「国家公務員のほうが給料が高くて、あたりまえ」という発想がある。しかし元来、行政サービスを提供した対価として、その給料は決められるべきであり、これが問題視されるのは理解できない。企業経営で考えると、大企業や上場企業よりも、中小企業のほうが給料が高くても、問題はないはずだ。


【ポイント⑤】交付税がひもつき補助金になる

 今回の問題に関連して、国は交付税の引き下げを図っている。

2013年1月17日 時事ドットコム「地方公務員給与、4月に引き下げ」

 本来、交付税は、行政運営を行うための必要なコストとして、様々な項目(面積、先生の数など)について基準額を定め、算定されている。それゆえ、公務員の給料とは無関係なはずである。しかしこの問題と交付税を結びつけて考えるとするならば、本来は自治体にとっては自由に使える自主財源にも関わらず、ひもつき補助金のように、交付税が地方を大きくコントロールする手段となる。


まとめ

 以上のように、いろいろな考え方ができる。
 地方自治体側に傾いた意見が多くなってしまったが、それは元地方公務員だからというわけではない(給料が高い自治体は、もっと給料を下げてもいいと思っている)。

 もともと、地方自治体とはいえ、民主主義の原則で運営されている。それに対し国のほうで、地方自治を支える行政組織に対して、財源などをネタに脅しをかけている状況を問題視しているのである。地方で給料が高いという問題があれば、その地方の問題として、民主主義の原則に従い、解決すればいい。国のほうから、何かを言われる筋合いはない。

 今回の問題は、給与の問題ではなく、地方自治や民主主義の原則の問題なのである。







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