概要
現在、都道府県を中心に、首都圏などで多くのアンテナショップが設置・運営されている。
ただそもそも、なぜ自治体はアンテナショップを設置するのか。
理由は単純で、自分の地域の産品などをPRするためである。実際の店舗で産品を見てもらったり、手に取ってもらったりして、紹介することが、第一義的な目的である。
またテストマーケティングといった要素もあるだろう。
裏の理由
上記のように、PRなどが最大の理由であるのだが、裏の理由もある。
多くの自治体ですでに設置しているので、担当者等はあまり感じてはいないだろうが、裏の理由としては、自治体の横並び意識である。
他の自治体で設置しているのだから、自分のところでもという形である。
特に、他の多くでやっているのに、自分のところだけやっていないとなると、「やらない理由」が必要になり、面倒である。
また、自治体としては、横並び意識がなくても、議会で、当然ながら、質問などが出るので、行政としては「やらない理由」の説明責任が生じる。
例えば、佐賀県ではアンテナショップを設置していないが、当然ながら、アンテナショップへの対応について、質問が出ている。
そこで、今、全国の自治体が運営するアンテアショップについて、間接的なものも含めて、運営するアンテナショップの実情はどのようになっているのか、どの程度設置されて、どういう機能を持っているのか、そのあたりをまずお伺いしたいと思います。
(平成25年6月19日 佐賀県産業常任委員会での質問)
この質問自体は軽い質問だが、このような意見が多く出てくると、行政としてはやるつもりがなくとも、アンテナショップの設置を検討せざるを得なくなる。
すなわち、裏の理由としては、(明示的ではないにせよ)自治体の横並び意識や言い訳のために、設置されてきたという面もあるだろう。
しかし自治体がやらざるを得ない
ただ、もし自治体がアンテナショップを設置しなければ、どうなるのか。
北海道や沖縄県のようにうまくやっているところもあるが、苦戦しているところも多い。
となると、民間企業が参入するにはリスクが高く、純粋に民間企業がアンテナショップを設置している例は(全くないわけではないが)少ない。
また、アンテナショップとなると、地域の食品から工芸品など、多種多様にわたる。
そうなると、仕入先の確保がたいへんであり、実際に対応できるのは、一部のおみやげ店などに限られるだろう。
つまり、自治体であれば、ある程度、どこでどのような産品・商品を扱っているかという情報を有しており、また民間企業がとれないようなリスクをとれるためである。
まとめ
自治体がアンテナショップを設置している背景には、横並び意識や議会対応・言い訳といった面もあると思う。
しかし、アンテナショップ自体は自治体が行わなければ、自発的に民間企業で同様な事業が行われにくい面もある。
市場の失敗として、行政が行う意義のある事業ともいえよう。
また、PR・テストマーケティングだからといって、赤字を出し続けるのは問題ともなる。
アンテナショップを設置しなければ、その理由が問われるが、設置したらしたで、その運営状況・収益などが問われるのである。
是非とも、しっかりと収益を上げながら、PRを行っていってほしいと思う。
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