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原発という麻薬。薩摩川内と敦賀の原発を巡る2つのニュース。


川内原発の新基準適合

 正直、原発についてはナイーブな問題であり避けてきたが、今日、気になる2つのニュースがあった。

 1つは、鹿児島県の川内原発において、原子力規制委員会の新基準適合の判断が出たようだ。

2014年9月10日 毎日新聞「川内原発:「避難計画まだなのに」新基準適合」

 全国の原発がストップしている中で、再稼働に向け、一歩進んだ形と言えよう。


 原発再稼働については、大きく分けて2つの考えがあると思う。

 1つは、一般的な消費者・生活者といった考えで、福島の例にみられるように、原発は危険で、再稼働には反対だという意見である。
 原発はいったん事故を起こせば、放射能漏れを起し、人に多大な被害を与える。それどころか、放射能に汚染された地域には人は住むこともできない。また、原発による廃棄物の処分技術は確立されておらず、ゴミを捨てるところもない。

 もう1つは、企業・経済という観点で、エネルギーコストの増大やエネルギーリスクの増加という点から、再稼働すべきだという意見である。
 コストの算定方法はいろいろあるだろうが、ランニングコストでいえば、原発は安価なエネルギーであり、エネルギーコストが上昇する中、このまま原発を停止したままでは、経済に影響を与える。また現在の主力電力は、石油(ガス)、水力であるが、経済・安全保障等の観点から、問題ともいえる。そもそも、日本で原発が推進された要因の一つは、オイルショックでもあり、現在のエネルギーミックスは、オイルショック前と同様の状態ともいえるのかもしない。

 どちらも間違ってはいないと思うし、それゆえに悩ましい問題と言えよう。


地域の視点

 ただ上記の問題は、ある意味、空理空論で真実味・真剣味がない意見だもと思っている。
 原発というものを考えるに当たり、自分はより安全な地域にいながら危険だと叫んでいるようにも聞こえるし、原発の再稼働の有無が自分の生活に跳ね返ってこない中で、意見が出ているような気がするからだ。

 上記の記事でもあるが、原発が立地している地域においては、より一層、難しい問題である。

 今はどうかは知らないが、以前、国会の前で、原発反対のデモが盛り上がった。そして、動員人数はもとより、近隣に住んでいる人たちが従来とは異なる気軽に参加するデモとして、注目を浴びたものだ。

 ただ、東京とかその周辺に住んでいる人よりも、原発の周辺に住んでいる人のほうが、はるかに危険である。東京などに住んでいて、原発が危ないとか云々するよりも、そのリスクに対する真実味は原発の周辺住民のほうがはるかに高い。

 他方、経済的に考えても、原発の周辺には、原発があることにより生計を立ててきた人たちが多くいる。そのような人たちにとっては、原発は危険だとか、エネルギーコストはどうだとか、そういう論理は大きな問題といえないだろう。なぜなら、リスクとかそのような話ではなく、直近の生計の維持が可能かという問題だからである。

 そして私は、原発停止による、特に後者の地域への影響について、気になっていた。なぜなら、生活も関連するような経済的な問題のほうが、緊急性は高いからだ。
 そうした中、敦賀で今日、次のようなニュースがあった。

2014年9月10日 産経ニュース「敦賀市、原発長期停止で転出増…来月にも人口減対策本部

 人口も減少する中、原発の周辺の地域では、現時点はもちろん、将来像も描きにくい。


覚悟を決める

 私は原発の周辺に住んでいるわけではないので、無責任な立場であり、原発を再稼働したほうがいいとか、止めたほうがいいとか、あまり言いたくはない。

 ただ思うのは、原発の周辺に住んでいる方は、2つの点で覚悟を決めるしかないと思っている。

 1つは、内発的に産業を起して、地域を活性化するしか、道はないのである。

 地域の活性化は、自ら新たなものを生み出すか、他の地域から人・企業を呼び込むしか方法はない。どこの地域でも、自ら新しいものを生み出すため、自治体などでは創業支援や地域おこし支援が行われている。また、他から人・企業を呼び込むために、企業誘致や定住促進策などを実施している。

 しかし原発が立地しているような地域では、後者の他の地域から人・企業を呼び込むという策は難しい。どこの地域でも、このような企業誘致や定住促進策について苦労している中で、原発というリスクも抱えたところに、飛び込んでくる人は少ないだろう。
 特にこのリスクは、原発が停止していようがいまいが関係ない。施設には汚染地域があり、かつての発電に関するゴミを抱えていることは、誰もが知っている。それらの危険性がなくなるまで、このリスクはつきまとうのである。

 この意味で、原発の周辺地域はリスクが高く、人・企業が喜んで来るような地域ではなく、自ら内発的に何とかしなければならないのである。特に、原発の周辺地域は、原発があるがゆえに裕福で、地域おこしや地域活性化などは遅れているような印象もある。周回遅れといった点も含め、考えなければならないだろう。

 そのためには、金が必要だ。
 これまでも、原発と金は、様々な形で結びついてきた。分かりやすい話としては、原発の周辺には立派な道が多いという例である。

 ただ、これからは新しい産業や地域活性化のために、金を振り分けるべきだ。上記で述べたように、地域が生き残るには、自ら企業・産業を興すしかない。そのため道路とかそういったものではなく、未来への投資につながるものへお金を使うべきである。

 この点でもう一つの覚悟としては、国や電力会社などから、原発の稼働・再稼働いずれにおいても、できるだけ金を分捕ることだと思う。言い方は汚いが、原発がある地域はそもそも過疎である地域が多く、上記のようにハンディキャップも背負っている。その点でやはり一層、金を用意することが重要だ。

 特に、国や電力会社などから金を分捕れるラストチャンスかもしれないということを考える必要がある。原発の稼働・再稼働いずれでも、今後、そうチャンスはないだろうし、今何とかしなければ、将来、地域は崩壊する。


脱・麻薬

 原発は、地域にとって、麻薬である。
 当初は、売り手・買い手ともに麻薬であるとは思わなかったが、バイヤーである国や電力会社は甘言を使い、地域としてはその麻薬に手を染めた。

 地域によっては、何号機と呼ばれるまである原発は、固定資産税欲しさの原発という麻薬の結果である。
 原発が立地することにより、補助金・電力会社からのお金など、様々な収入を得ることができるが、自治体としての大きな収入の一つが固定資産税である。固定資産税は施設にも課税されるが、施設は年々、老朽化するため、価格が下がり税収も減少する。そうなると、地域としては新たな原発が必要となる(更に、新たな原発を作ったり、新たにプルサーマルを導入したりすれば、国からお金ももらえたりもした)。

 厳しいとはいえ、原発を稼働・再稼働どちらにしようが、脱麻薬のため、原発の周辺地域は頑張ってほしいと思う。







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