概要
これは、地域活性化センターが、東京都日本橋・日本橋プラザビル1階の「ふるさと情報コーナー」にパンフレットコーナーを設置し、その持ち帰られた数をランキングしたものである。
市町村のパンフレットは228,384部提供されたそうだが、このうちトップテンを抜粋すると右のようになる。
北海道や京都など、やはり人気の観光地が上位にランキングしている。特に、北海道では札幌市(1位)・小樽市(5位)・函館市(8位)、京都府では京都市(2位、10位)となっており、複数のパンフレットがトップテンに入っている。
また式典遷宮のあった伊勢市なども7位となっている。この他、箱根や鎌倉なども、首都圏の人にとっては身近な観光地として、人気が高いと言えよう。
順位 | 都道府県 | 団体 | パンフレット名 |
---|---|---|---|
1位 | 北海道 | 札幌市 | さっぽろ観光マップ |
2位 | 京都府 | 京都市 | 京都味の巡礼・匠の巡礼 |
3位 | 宮城県 | 仙台市 | 仙台観光マップ |
4位 | 兵庫県 | 神戸市 | おとな旅 |
5位 | 北海道 | 小樽市 | すぐそこ おたる。 |
6位 | 神奈川県 | 箱根町 | 箱根観光マップ |
7位 | 三重県 | 伊勢市 | ええじゃないかお伊勢さん |
8位 | 北海道 | 函館市 | 浪漫函館 2013 |
9位 | 神奈川県 | 鎌倉市 | 鎌倉観光パンフレット |
10位 | 京都府 | 京都市 | マップ 京都 |
(出典)上記プレスリリースより抜粋
更に見てみると…
上記のランキングを100位まで更に見てみると、いくつか面白いことが分かる。
①意外と人気のないところ
観光地として思いつくところといえば、沖縄が挙げられるだろうが、沖縄のランキングが20位と思ったほど、高くない。
また、中国・四国・九州地方の市町村もトップ100のなかでは少ないようだ。
中国地方では、確かに島根県の出雲市(22位)、松江市(25位)がランキングしているが、式年遷宮の影響もあるため例外的に考えると、その次に出てくるのが、34位の広島市であり、トップ30にも入っていない。
同様に、四国・九州地方で最も高いところをみると、九州地方では長崎市が37位となっており、四国地方に至っては高知市で93位となっている。
勿論、観光パンフレットのデザインなどにも大きな影響を受けるだろうが、このランキングで見る限り、関西より西の人気はあまり高くないようだ。
②意外と人気のあるところ
思ったよりも、ランキングとして高いのが、都内のパンフレットである。
文京区が18位、目黒区が24位となっており、身近なところを改めて観光・散策するために、人気が高くなっているようだ。このパンフレットのランキングで見る限り、沖縄よりも文京区のほうが人気が高いことを表している。
③意外と団子状態
上記のように人気のあるところ・ないところがあるのだが、同時に思うのが、意外と団子状態であるということである。
グラフを見ると、順位に単純に比例するのではなく、順位が高いほどより提供数も多くなっており、弓なりのような形状をしていることが分かる。
このような形状をすることは、自然界などでは当たり前のものである。べき乗則やジップ分布などと言われ、上位にあるものは、より多くの数値となることが多い。
分かりやすい例とは、人口の分布である。(掲載は省略するが)都道府県ごとや市町村ごとの人口について、順位で並べたら、同様な形状のグラフになる。
とはいえ、このパンフレットに関するグラフは、思ったよりもこの形状が緩やかだ。
京都市のように、100位以内に複数のパンフレットが入っており、単純には言えないが、1位の札幌市では100以内では2.5%、市町村全体で見れば0.4%のシェアしかなく、1位の割合は決して高くない。(母数が少なければ高くなる傾向があるが)都道府県別の人口で比較すると、1位の東京都は1300万人おり、日本人の人口の10%程度を占めていることを考えると、この数値の低さが分かる。
また、この法則は、経営学的にいえば、パレートの法則とも言われる法則である。これは80:20の法則とも言われ、20%の顧客が売上の80%に貢献しているというものだ。しかし、上記のパンフレットの100位以内で考えると、上位20位までを合計したシェアは、約30%にしかすぎない。
すなわち、確かに人気のあるパンフレットはあるが、大きな格差があるとはいえないということだ。
結論
以上のことから、確かに人気のある観光地などは高い傾向があるものの、思ったよりも格差はなく、低い順位でも容易にランキングを変えることができるだろうということだ。
ただ逆に言えば、そこそこのものを作っていれば、それなりに貰ってくれるということもできよう。
勿論、どこの地域でも、多く貰ってもらいPRをしたいところであろうが、パンフレットだけがPR手段ではない。
このとき、上記の考察を考慮すると、パンフレットを使ったPRについては、デザインなどを工夫して、一気に上位ランキング入りを目指すか、上位ランキング入りは諦めて、そこそこのものを作って無駄な労力をかけないという2つの戦略が考えられるのではないかと思う。
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