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改めて、面白いと思うふるさと納税の仕組み

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ふるさと納税のビジネスモデル

 現在、ふるさと納税の人気が高まっており、自治体のほうでも、その納税(寄付金)を増やすため、必死になっている。

 そもそも、ふるさと納税の仕組みは、ある自治体に寄付をすると、税金が減税されるというものである。ただこれだけでは、単に支払うところが変わるだけで、納税者としては、この制度を利用するインセンティブが弱い。

 そこで、導入されたのが、お礼という制度だ。お礼をすることで、納税者としては、お礼が多いところに、寄付をしたほうが得である。例えば、ある自治体に寄付すると、ブランド牛肉がもらえたりするというインセンティブが導入され、非常に人気が高まった。

 ただ自治体としては、ジレンマが大きくなった。

 お礼というものがなければ、そのまま寄付金を歳入とすることができた。しかし、お礼により、事業者にお礼の商品代を支払う必要が出てきた。

 自治体としては、当初の歳入アップという目的よりは、ふるさと納税を通じて、地域の事業者の売上アップや地場産品のPRという側面が強くなっている。

 すなわち、現在のふるさと納税という仕組みは、「納税者⇒他の自治体」というお金の流れから、「納税者⇒事業者」という流れに変わってきているといえよう。

 そして、自治体としては旨みは少なくなっているが、地元の事業者のことを考えると、どんどんと推し進めざるを得ないという現状となっている。


他への応用?

 とはいえ、この仕組み自体は非常に面白い。
 税金というものを通じて、他の地域への所得の移転が行われているからである。
 そしてこの仕組みは、他にも応用が可能ではないかとも思ってしまう。

 例えば、住民税で利子割というものがある。
 これは、銀行などにお金を預けていると、その利子に住民税が課せられる。銀行通帳を見ると、利子が入っているが、税金を控除された金額が計上されているはずだ。

 そしてこの利子割は、利子等を支払う銀行の所在する都道府県に納められる。
 なので、自分の住んでいる地域以外の地方銀行などに預金をしておけば、その地方銀行がある都道府県にこの税金が納税されることになる。

 ということは、納税者としては、自分が利子割を納めたい都道府県を選ぶことが可能ということだ。

 ここでふるさと納税の仕組みを応用すると、都道府県としては、自分の地域の銀行などに多くのお金を預金してもらい、利子割を増やし、そのお礼をするという仕組みを整えることで、ふるさと納税と同じようなことができるのではないかと思う。

 現在、多くの自治体で、自分の地域へふるさと納税をPRしているが、利子割という税金を通じても、同じようなことが可能と考えられるのだ。

 ただ残念ながら、利子割という仕組みは、税率が低く、富裕層や大企業などでしか使えない。例えば、1000万円預金があったとしても、その利子率を0.1%とすれば、利子は1万円である。更に利子割は、その利子に対して5%の税率なので、この場合の利子割の税金は500円にしかならない(その上、このうちの約6割が町村に配分される)。

 これでは到底、大したお礼はできないことになる。日本人一般的にどれだけ預金しているか知らないが、大きな預金額がなければ、成立しない仕組みなのだ。

 とはいえ、このふるさと納税という仕組みは、非常に面白いと思う。

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