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セーフコミュニティには住みたくない!

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 福岡の久留米が「セーフコミュニティ」に認証されたという。

外部リンク2013/12/22 西日本新聞「久留米に国際認証 WHOの安全安心なまちづくり基準」


 セーフコミュニティとは、WHOが行っている安全安心なまちづくりに対する世界認証である。日本セーフコミュニティ推進機構の定義によると、セーフコミュニティとは、次のとおりである。

「セーフ コミュニティ」とは、「すでに完全に安全な状態である」コミュニティでなはなく、「体系だった方法によって安全の向上に取り組んでいる」コミュニティのことです。 「コミュニティ」とは、地理的範囲、共通の関心、専門的な組合や連合などから構成されるグループ、あるいは特定の立場においてサービスを提供する人々です。ですから、「セーフ コミュニティ」のもつ意味は、一つだけではありません。ですが、多くのコミュニティでは、そのことに気づかないままに、ただ漠然と「安全なまち」という目標を目指しているのです。 セーフ コミュニティ活動が他の傷害予防のためのプログラムと異なる点は、コミュニティが主体となってプログラムを推進するという点です。 また、事故や傷害を予防するためには、まず何が問題であるのかを明らかにし、その対策を講じ、その対策によって得られた成果を評価することが必要とされている点です。


 今回の久留米の認証で、日本では9都市目となる。
 私自身は、このような認証制度を否定するつもりはないし、当然ながら、事故や傷害を予防するための自治体の取組みは重要だと思う。

 ただ思うに、このような認証をとらずに、地域の安全安心の取組みを推進すればいいのではないかと思ってしまう。このような認証がなければ、安全安心の取組みができないならばいざしらず、これまでも各自治体で行われてきたし、大学などの機関でも研究が進められてきただろう。

 認証が何もせずに取れるなら別だが、認証取得のための人員を用意したり、費用が発生する。例えば、久留米市では今年度、セーフコミュニティ推進事業として、16,857千円の予算を計上している。久留米市については内訳は分からないが、昨年認証を受けた横浜市栄区では、880万円の予算を計上し、内訳は次のようになっている。

(1)セーフコミュニティ推進啓発事業 300万円
 ・セーフコミュニティ活動を区全体に広げるためのプロモーションプログラムの展開
 ・セーフコミュニティ認証式に合わせ、セミナーを開催
(2)推進協議会・分野別分科会運営 260万円
 ・区民の事故・けが等に関する実態調査の実施(傷害サーベイランス分科会)
 ・会議用の資料作成、物品の購入(推進協議会及び傷害サーベイランス分科会)
 ・審査にかかるコーディネイト業務の委託
(3) WHO協働センターの認証取得 320万円
 ・審査資料の作成(日本語・英語)、現地審査(プレゼンテーション及び視察)の実施
 ・セーフコミュニティ認証式の開催
※セーフコミュニティの各分野に係る事業費は各所管課が計上


 認証のために何百万円のお金を使うならば、事故や傷害を予防するための実際の活動やインフラ整備に使ったほうがいい。そのようなことに使わずに、単なる認証のためにお金をかけているというのは、むしろ安全安心を軽視しているとも言えよう。

 勿論、このような認証をとることで、視察が増えたり、地域のブランド力が上がるなどといった効果もあるだろうが、本質的なことでない。あくまでも重要なのは、実際に事故や傷害を予防する取組みを行うかだ。

 地域の事故や傷害の予防を後回しにして、他の機関を儲けさせるというのは変な話だと思う。
 この意味で、このような認証を取得しているようなところは、本当に地域の安全安心を何とかしようとしているのか疑問に思ってしまうし、このような地域には住みたくはないと思う。

 繰り返すが、このような認証自体は否定はしないし、お金がかからなかったり、安価ならば問題はないと思う。しかし、何百万円もかかっていることを考えると、考えざるを得ない問題だ。
 緩やかながらセーフコミュニティ認証の取組みが進んでいるようだが、これがスタンダードにならないことを願う次第である。

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