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コメの先物取引、マーケットの意義とは?

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 大阪堂島商品取引所で、米の先物取引について、活性化を図ろうとしているというニュースを見つけた。

外部リンク2013/09/27 日本経済新聞大阪堂島商取、コメ先物の活性化策


 米の先物場は、現在、試験上場で、2015年8月までに売買高を増やす必要がある。しかし現状は、場は低迷しており、今回の活性化策というわけだ。

 しかし、私はそもそも、このような場自体が不要だと思っている。

 世界で初めて先物取引が行われたのが、堂島の米相場と言われているが、先物市場自体、なぜ必要かと言われると、価格の安定化のためである。物の取引にあって、日々価格が大きく変わるようでは、取引が非常に難しい。

 例えば、農産物や水産物の売買で、4定と呼ばれるものがある。4定とは、定量、定納期、定(低)価格、定質の頭文字をとったもので、農産物や水産物の取引にあっては、このような条件が求められるというものだ。この一つに、定価格とあるように、実需取引に当たっては、あまり価格が変動しないほうがいい。
 また確か、電力会社などでも油の売買などの際には、数か月後先まで、取引価格を取り決めて、売買を行い、価格リスクを抑えている。

 実需取引にあっては、価格変動は好ましくないのである。そして、この価格変動を何とかしようとして、生まれたのが先物市場である。
 逆に言うならば、価格変動があまりないような物では、市場を作っても意味がない。また、投資家・投機家としても、価格変動がなければ儲けにくいので、参加はしにくい。

 この点で、米を考えると、トレンドとして低下傾向が見られるが、大きな価格変動は乏しい。つまり、そもそも米について、先物市場の必要性はあまりない。

 かつて、野菜について先物市場が試験上場されたが、結局は失敗となった。野菜は米に比べて、価格変動が大きいため、先物市場に向いていると言える。本当の原因は分からないが、複数の野菜のインデックスである、現物受渡がなく実需とは無関係であるなどの理由からだろう。

 今回の米は、米という単品であり、現物の受渡もあるということで、野菜先物とは違うが、そもそも価格変動という点で、先物市場とは合っていないような気がする。

 農協がマネーゲームだとして反対しているそうだが、そもそも、価格の安定化を図るために市場が作られるので、農協の考え方は間違っていると思う。ただ、実需取引の必要性がないところに、マーケットを設けても、単なるマネーゲームに過ぎなくなる。その意味で、農協の指摘は正しいだろう。

 いずれにせよ、どんなマーケットでも、意義をもっている。結果としては、マネーゲームの場になってしまう場合もあるが、基本は術寿取引の必要性から、市場は生まれるのだ。特に、米の場合には、どこの地域でも自分の地域の米について、ブランド化を図っているが、その潮流にも反している。

 これらの点で、米の先物取引市場は、あまり意味がないのではないかと思ってしまう。

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