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地方公務員削減を目指す安倍政権、どうも地方のことを考えていないようだ。

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 先日7月23日、地方自治体への普通交付税等の交付額が決定された。


 「アベノミクス 地方衰退は加速されるから、今のうちに地方から脱出を!」でも書いたが、今回の交付税の決定を見ても、どうも現在の安倍政権は、地方のことを考えていないようだ。

 1つは、交付額の削減である。(東京都を除いた)道府県分は3.1%、町村分が1.3%の減少となった。国としては、地方公務員の給与水準を国家公務員並みにみなしたため、削減となったとしている。一つの論理としては正しいが、「地方公務員の給料が高い」でも述べたように、そもそも国が地方公務員の給料について、とやかく言うこと自体が問題である。住民の意見や世論に基づいて行政運営がなされるというのが、民主主義の原則だろう。それを天下り的に、中央官庁が決定すること自体、おかしな話である。

 2つは、上記に関連するが、「地域の元気づくり推進費」というものの創設である。この制度は簡単に言うと、自治体が職員数を多く削減するほど、交付税が多くもらえるという仕組みだ。職員数についても、自治体がそれぞれの実情に応じて、決めればいい話であって、国が交付税という手段を使いコントロールしようというのが間違っている。そもそもどこの自治体でも、職員の削減は進めているものである。

 3つは、このような措置によって長期的な影響を受けるのは、人口の少ない町や村ではないかと思う。このような自治体は、人口が少なく、産業基盤も弱いため、税収が少なく、交付税の依存度が高い。交付税の削減はこれらの自治体には大きな痛手である。そして、地域の元気づくり推進費のような制度ができると、より職員数を抑制的にするだろう。しかし、人口の少ない町や村にとって、役所というものは、重要な雇用の受け皿でもある。その地域に民間企業などでいい就職先があればいいが、これらの地域はそのような企業が少なく、一番の就職先は役所というところも多い。例えば、大学を出て、地元へいざ就職しようと思っても、民間企業ではよい働き先がなく、地元の役所へ就職するといった場合が多くある。
 つまり、小さな町や村において、役所は、過疎化対策という機能やその地域での人材確保・維持といった機能も有しているのだ。

 行政機関が肥大化することはよくないことである。その意味で、公務員の人件費削減は重要である。
 ただ、今回のようなことは、民主主義の原理に反しており、国がより地方をコントロールしようという動きにしか見えない。
 そして何より、人口の少ない地域に行くほど、地方自治体の役割は大きく、多面的な機能を有している。地域経済にとって重要な要素として、人・人材といったものがある以上、それを阻害するような国による地方公務員削減を目指すような動きは、問題ではないかと思う。


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