よく自治体などが、自分のところで作った水道水を販売している場合がある。
所詮は水道水なのだが、綺麗に印刷されたペットボトルに入っていると、何となく、すごく美味しい水に見えてくるから不思議だ。
他方、一般的には、ミネラルウォーターなどのほうが美味しいし、より天然に近いと思われている。
しかし、ミネラルウォーターよりも水道水のほうが、天然に近い場合がある。
水道水といっても、様々な浄水方法がある。
一般的に採用されているのが、急速ろ過である。この方法では、浄水過程で石灰を使うため、水道水がカルキ臭くなる。しかし、緩速ろ過という方法もあり、砂及び砂の中の細菌などで、原水をろ過し浄水する方法がある。簡単に言えば、人工的に井戸水や地下水を作るようなものだ。
他方、ミネラルウォーターといっても、様々な種類がある。
「ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン」によると、次のように飲料水は区分される。
品名 | 原水 | 処理法 |
---|---|---|
ナチュラルウォーター | 特定の水源から採水された地下水 | 沈殿、ろ過、加熱殺菌以外の物理的・化学的処理を行わないもの |
ナチュラルミネラルウォーター | ナチュラルウォーターのうち鉱化された地下水 | |
ミネラルウォーター | ナチュラルミネラルウォーターと同じ | 品質を安定させる目的等のため、ミネラルの調整、ばっ気、複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーターの混合等が行われているもの |
飲用水又はボトルドウォーター | (飲用適の水(硬度、pHを除く) | (処理法の限定はない) |
処理法を見ると分かるが、「ミネラルウォーター」の場合には、加熱殺菌などは禁止されていない。逆に、「ミネラルウォーター」は殺菌が義務付けられており、加熱殺菌・紫外線殺菌などが行われている。
このように、緩速ろ過の水道水は特に加熱殺菌などは行われていない反面、ミネラルウォーターは加熱処理などが行われているとことを考えると、水道水のほうがより天然に近いのではないかと思ってしまう。
勿論、上記で述べたように、多くの自治体では急速ろ過の浄水方法を採用しており、緩速ろ過の浄水場は少ない。また、市販されている水道水すべてが緩速ろ過のものではないだろう。
しかし、見方を変えれば、ミネラルウォーターよりも緩速ろ過の水のほうがより自然な水である。
また、皮肉なことに、現在では水道水はあまり飲まれなくなったが、浄水技術も向上しており、急速ろ過の水なども昔に比べ、おいしくなっている。
もっと水道水を飲もうというわけではないが、水道水について、もう一度考えてもいいかもしれない。(給配水の際の影響も考えなければならないが)もしかしたら、市販のミネラルウォーターよりも、より天然に近く美味しい水道水が、自分のところに供給されているかもしれない。
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