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地方分権が2重・3重行政を増やす?


概要

 今さら言うことではないが、2重・3重行政とは、国と地方自治体で同じような施策を行っていることである。同じような事業を実施することで無駄が発生し、非効率な財政運営となってしまう。
2重行政

 昔からある問題だが、大阪市長の橋下氏が大阪府と大阪市の2重行政の問題を指摘して以来、クローズアップされた。そのため、2重・3重行政の問題は、都道府県と政令市との問題と考えられる人もいると思うが、国・都道府県・市町村全般にわたる問題である。

 そこで、ここでは、2重・3重行政の本質的な問題を考えたいと思う。


地方分権と多重行政

 一見すると、地方分権と多重行政は無関係のように思える。むしろ、国の役割が小さくなるのだから、多重行政は解消されるのではと考える人も多いと思う。
 しかしここには、現在の地方分権の本質的な問題をはらんでいる。

 一つは、地方分権によって、地方自治体は施策に対して、より自由になるということである。そのため、いろいろなことができるようになるのだが、これは逆に言えば、いろいろとやらなければならなくなるということである。つまり、ある政治課題が生じた場合、これまでは、国の仕事、都道府県の仕事、市町村の仕事と言い訳ができたが、地方分権が行われると、これらのことを自らやらなければならなくなる。ここまでは問題はなく、むしろ喜ばしいことともいえる。

 しかしこれは同時に、ある政治課題に対して、国・都道府県・市町村がすべて責任を負うことを意味する。その結果、その政治課題について、国・都道府県・市町村すべてで、対策が行われることになる。勿論、財政規模が異なるため、同じような対応できるわけではないが、2重・3重行政が発生することになる。

 例えば、環境問題やエネルギー問題で太陽光発電が推進されている。これは、国のみならず、地方自治体でも大きな課題である。その結果、太陽光発電の補助金は、国・都道府県・市町村すべてで、行われている場合が多い。

 また、多重行政は、国・地方自治体の役割が不明確な分野で発生しやすい。上記の太陽光発電もそうだが、中小企業施策や観光などの分野では、規制が少なく、国・地方自治体の役割が明確に法律などで定められているわけではないので、多くの多重行政が発生している。結局、地方分権が進み、国・都道府県・市町村で役割が不明確になると、多重行政が発生しやすくなってしまう。

 もう一つは、上記とも関連するが、地方分権にあたって、国・都道府県・市町村がやめることを決めていない点である。いくら地方分権を進めても、国がある分野について関与することをやめなければ、国にその分野に関する責任は残り、結局は地方分権を進めても、国としてやらなければならないことが残ってしまう。

2重・3重行政の発生

 若干例としてあてはまらないが、元来、地方自治体がメインでやってきたことを、国もやるようになった例として、上記でも述べた観光などが挙げられる。元来、観光は都道府県や市町村で、PR活動などが行われてきた。国の観光に関する所管は国土交通省で、観光部などの形で、観光地への補助などなどを行ってきた。しかし数年前から、国として観光の推進を図る必要性があるということで、2008年に観光庁が誕生した。地方分権という観点では、逆のことが行われたわけだ。

 つまり、地方分権を行なっても、国にその機能・責任が残ると、何かの課題・問題が発生したとき、その機能は肥大化する。そして結局、2重・3重行政は維持されたままとなる。

 これらのことを考えると、地方分権により、2重・3重行政が増える可能性が高いと言わざるを得ない。







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